愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
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花粉症が酷くなったのか若干もう目がかゆいです…
嫌だなぁ…
SSはツイッターで募集してた台詞のリクからです。
2個目。
リク有難うございました!!
・佐幸
・戦国
・九度山時代
【モノローグ・エピローグ】
鳥の囀りの聞こえる庭を幸村は眺めていた。
視線の先には声の主である小鳥が数羽、庭の土をつついている。
流れる長閑な空気。
何とも平和な光景だ。
そこにバサリと大きな羽音が響き渡り、幸村は思わず立ち上がった。
逃げた小鳥達と入れ替わる様にゆったりと降りてくる大烏は人影を伴い、幸村は笑顔でその人物を出迎える。
「お帰り、佐助」
「ただいま、旦那」
頼まれてた団子買ってきたよと包みを掲げる男に幸村は鷹揚に頷いて見せた。
ここは九度山と呼ばれる山の中腹にある庵である。
関が原の戦いで西軍が敗北し、上田を追われた幸村は現在この地に蟄居を命じられている。
当然幸村自身が自由に行き来できるのは山の麓の村までで、山を下りる事は許されていない。
そんな幸村の為に忍達は度々山を下りてはこうして彼の望む甘味を買いに走っている。
否、本来は忍達とてそれは許されていないのだが、人目を忍んで行動する事が本職の彼らには見張りの目を掻い潜り庵と外界を行き来するなど造作もない事で。
徳川方も恐らく気付いて入るのだが証拠を掴めた試しがないので渋々黙認しているのが現状だ。
勿論、忍達の目的は団子だけでは無い。
と言うかそちらはついでであり目眩ましだ。
真の目的は――
「今回は西を中心にぐるっと回って来たけど、どこも落ち着いたもんだよ。徳川は上手く治めてるみたいだね」
諸国の偵察及び世情の情報収集。
隔離された地ではあるが、一応有事の為に情報は有るに越した事はないと幸村は各地に忍を走らせている。
そうして見て来た事を佐助は幸村に報告する。
「西側の処断が軽すぎるって騒いでた東の連中も東照自らに説得されて取り敢えず矛を収めたみたいだし」
買ってきた団子にお茶を添え、盆に乗せて出した佐助は縁側で幸村の隣に座り告げる。
曰く、関が原の戦い以降天下は統一されつつあると。
「このままいずれは徳川の下で泰平の世が訪れるんじゃない?」
態とか軽い調子で告げる佐助から団子を受け取る振りをして、幸村はそっと目を逸らした。
そして声にはしないまま、彼に語り掛ける。
(お前が・・・こう言った事では嘘偽りを言わぬ事は知っている)
忍である彼が嘘を全く言わないとは流石の幸村とて思ってはいない。
しかしこう言った報告で、肝心な所では、佐助は決してそれをする男ではない事も知っている。
けれども、と。
(だがお前が、全てを話しておらぬであろう事も、知っておるのだ・・・)
確かに、今の世は落ち着いていて、そしていずれは徳川の下で泰平の世は訪れるのであろう。
けれど確かに燻る火種は存在している。
幸村には分かる。
いずれ訪れる太平の世の前に、必ず戦は訪れると。
それを佐助が幸村に告げぬのは佐助がそれを望んでいないからだろう。
知れば幸村は必ずその戦に身を投じる。
影たる佐助も道連れに。
叶うならばそんな未来が訪れない様、幸村を遠ざけようとしているのだ。
それすらも分かっているのに、己は――
(すまぬ、佐助・・・)
今までずっと尽くしてきてくれた己の半身。
そんな彼を望まぬ戦へ、死地へと誘う己は何と酷い主だろうか。
言葉に出来ぬ思いを心の内に、幸村は団子と共にそれを飲み込んだ。
「今回は西を中心にぐるっと回って来たけど、どこも落ち着いたもんだよ。徳川は上手く治めてるみたいだね」
巡って来た諸国の様子、情勢。
告げると幸村はそうかと目を閉じて頷いた。
実際、今の所各国に目だった動きは無く、西軍に与した国も敗北し国を追われた連中も大人しいものだ。
豊臣の主戦力を失い越後も黙り込んでいるとあればそれも致し方なしと言うところだが。
天下は既に徳川が動かしている。
今更反乱を起こそうと言う輩はそうはいないだろう。
しかし、“そういない”と言うのは全くいないと言う訳では無い。
豊臣の再興を目指す者は大阪を中心に少なからずいる。
今はその連中を燻り出したい徳川と機を伺う連中の間で腹の探り合いをしているような状況だ。
大阪周辺は燻った焚火のよう。
少しでも空気を送れば燃え上がりかねない。
「西側の処断が軽すぎるって騒いでた東の連中も東照自らに説得されて取り敢えず矛を収めたみたいだし」
しかし佐助はそれを幸村には言わなかった。
幸村を争いから遠ざけておきたかったからだ。
叶うならば、彼にはこのまま穏やかに暮らしていて欲しかった。
「このままいずれは徳川の下で泰平の世が訪れるんじゃない?」
だから願いを込めて、そんな事を言ってみた。
そして幸村の方を伺うと。
「そうだな・・・そうなったらこのまま此の地でのんびり余生を過ごすのも良いかもしれぬな・・・」
幸村の言葉は肯定だった。
佐助が望んだ言葉の筈だった。
それを聞いて佐助は心の内で彼に語り掛ける。
(あんたが嘘偽りを言えない性質だって事は、俺様が一番よく知ってるさ・・・)
だからその言葉も全くの偽り、全て本心ではない訳ではないのだろう。
だがしかし、だ。
(でも、全てを話していない事も分かってるんだ・・・)
平和を望む心は確かにあるだろう。
けれどこのまま暮らしていく事を彼が望んでいない事も佐助は知っている。
大阪で火種が大きくなり戦となれば彼は必ず身を投じる。
それはきっと確定された未来だ。
その時、きっと彼は一人で行こうとするのだろう。
それが佐助は耐えられない。
連れて行ってくれと言えば願いは叶うだろうか。
(でもあの人、頑固だからな・・・)
ならばその日が出来得る限り遠くなる様。
願って、佐助は手元のお茶をそっと吹き、未来を重ねた湯気をそっと遠くへ追いやった。
その後、佐助の願いもむなしく大阪で戦の気配が起こりその日は訪れたのだけれど。
非常に申し訳なさそうな顔をした幸村がお前も共にと言い出し、是非にと食い気味に頷いた佐助と共に二人は互いに驚愕に目を見開く事となる。
口にしていなかった最期まで共に、と言う二人の願いは無事叶ったと言う話。
終
結末や如何に。
<リク台詞>
「嘘偽りを言わない事くらい知っている。けれど、全てを話していない事も分かっているんだ」
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プロフィール
HN:
早和
性別:
非公開
自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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