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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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ツイッタで140字SSをちまちま書いているのですが、その中で佐幸プロポーズを書いたら140字ではもの足りなくなって拡大してみました。
一応「クロスロード」の設定を引き継いでおります。
タイトルも「クロスロード(交差点)」を渡ろう、みたいな。
その為幸村女体化となりますので、苦手な方はご注意下さい。










・現代
・佐幸
・女体化





【白線渡り】






二人でいるのが余りに当たり前の事だったから、最初は全く気付かなかった。
しかし、毎日の様に佐助の家に入り浸る幸村にあれ、と思ったのは再会から半月程経った秋の中頃。
幸村が家にいる時に日が落ちるのが早くなったなぁ、なんて。
何とも無しに思って気付いた。

「旦那、いつも遅くまで出歩いてて、ご家族は心配してない?」

大学生ともなれば多少の夜遊びは許されようが、やはり未成年の女性が連日となれば家族は心配するのではと思ったのだ。
幸村は見るからに真面目なタイプだし、そんな娘が突然連日出歩くようになれば家族は驚くだろう。
入り浸るのは一向に構わない。
寧ろ佐助としては嬉しい事だ。
しかし、それで幸村の家族から悪いイメージを持たれるのは本末転倒だ。
幸村とは言わずもがな長いお付き合いをさせて頂く予定なので。
娘をたぶらかす悪い男と思われてやしないだろうか。
一回ちゃんとご挨拶に伺った方が良いかも知れない。
まだ付き合ってもいないのに先走る佐助に、しかし幸村から返された答えはその予定を大いに打ち砕くものだった。

「ああ、言うてなんだか。俺は一人暮らしだから問題はないぞ」
「はい!?」

一人暮らし。
幸村とはおおよそ結び付かない言葉に思わず目を剥く。
一人暮らしって・・・
家事とか出来るんだろうか、この人。
失礼かも知れないが、そう思ってしまうのは在りし日の髪すらもまともに結えないこの人を知っているからだと勘弁して貰いたい。
あの不器用さを思い出せば仕方ないと言えよう。
しかし、そんな幸村が、掃除、洗濯、炊事。
とても想像がつかない。
している所を全く見た事が無い訳ではないが、道場の掃除をすれば壁に激突して壁を壊し、洗濯を手伝えば衣を破き、煮炊きをすれば鍋を焦がしていた。
そんな彼が一人暮らし。
しかし、時代もあの頃のままではない。

「料理は簡単なものしか作れぬが、今は出来合いのものがスーパーでも何処でも売っているからな」

どうとでもなると幸村は笑う。
確かに今は便利な世の中で、おかずは何処でも買える様になっている。
ご飯もスイッチ一つで炊ける。
幸村でも炊事は何とかなるのかも知れない。
けれど、やはり何となく心配になって、今度タッパでおかずを持たせようと佐助は決める。
この人が栄養バランス等を考えるとは到底思えない。
特売やタイムセール等で適当に目についたものを買っていそうな気がする。
何となく。
ともあれ炊事はそんな感じで。
他にも、掃除は物持ちが少ないから今のところ何とかなっているらしい。
洗濯は纏めてコインランドリーとの事。
不器用ながらも何とかやっているらしい事実を少しずつ受け入れ感心はするが、それでも何故と思わずにいられない。
幸村は特段束縛を嫌うタイプでもない。
態々家計に負担のかかる一人暮らしを選ぶとは思えないのだが。
他に考えられる理由は大学が家から遠い、とかだろうか。
それも余りピンとは来ないが、特殊な学部などを専攻していたら有り得なくはないかも知れない。
そこまで考えて、佐助は幸村の大学について聞いた事がなかった事実に思い至った。
年齢は聞いていたが、今は大学が夏休み期間中と言う事もあって話題に上らないのですっかり忘れていた。

「旦那、大学何処通ってるの?学部は?」

ついでに実家は何処なのかと尋ねると、聞きだした大学も実家もここからそう離れてはいない場所で佐助はまた首を傾げた。
どちらも共に電車で一時間圏内だ。
因みに、今まで聞いていた一人暮らしをしている家の住所も同様だ。
つまり、幸村は大学が実家から通える距離にあるにも関わらず、態々一人暮らしをしていると言う事だ。
益々もって不可解だ。
すると、そんな佐助の訝しみを悟った幸村が苦笑して付け加える。

「実は、家族といい関係が築けなくてな」

思わぬ発言にドキリとした。
幸村が言い難そうに語ったところによると、幸村の前世の記憶はもう物心ついた時には彼の内にあったらしい。
それを他人に告げてはいけないと言う事は直ぐに察したらしいが、子供らしい子供を演じる器用さは彼には無かった。
結果、歳不相応に落ち着いた可愛気のない子供を両親は気味悪がったらしい。
そしてそれは徐々に膨れ上がり、二人目の子供が生まれたと同時に表発した。
所謂、ネグレクトと言う形で。

「まあ、食事は貰えたし、中学までは通わせて貰えたがな」

昔の様に毒を盛られる訳でもなし、と幸村は気にしていないようだが、佐助にとってはとんでもない話だ。
しかも、食事も幸村は貰えたと言ったが、実際はどうやら余りものを食べていたらしいのだ。
一度栄養失調で倒れた事があると聞いた時にはもう堪らなくて泣きたくなった。

「まあ、そんな状態だったから、高校は寮のある所に剣道の特待生として進んでな」

その時に親元からは離れ、以来連絡は取っていないらしい。
大学も、当初は行く気はなかったが、学校の先生に勧められて進学を決めたのだそうだ。

「担任の先生殿が、態々奨学金やら色々調べてくれてな。申し訳なかったし、大卒の方がまあ就職にもいいかと思うて」

結局、奨学金を貰いながら今は夜学に通っているらしい。
日中は学費と生活費を稼ぐためにアルバイトだ。
夏休みが終わったらそうそう会えなくなるなと言われて佐助は二重の意味で衝撃を受けた。
幸村に会う時間が減る事と、思いもかけない幸村の生い立ちに。
知らなかった。
てっきり、今生では両親のある中で幸せに暮らしてきたのだとばかり思っていたのに。
同時に幸村と再会する前の自分を殴りたくもなった。
幸村を諦めようとしていた等と。
自分が死んだら幸村は、この先たった一人で生きていくところだったのだ。
家族も、記憶を分かち合う者もなく。
そんな目に遭わせかけた己が情けない、不甲斐ない。

「佐助、どうした?」

そして考え込む佐助を訝しみ目の前でヒラヒラと手を振る幸村。
その指先が肉刺やタコではなく、恐らく水仕事で荒れてしまっているのが遣る瀬無い。
その手を取って、両手でぎゅっと握りしめる。
後でハンドクリームを買っておこう。
そう心に決める。

「な、何だ、佐助・・・?」

急に決意した男の顔で見詰めて来る佐助に幸村は思わずたじろいだ様だった。
取られた腕を引きかけるので、その前に佐助は告げた。

「旦那、結婚しよう」

もう、それしか考えられなかった。
結婚して一緒に住めば、幸村の金銭的負担も減るし一緒にいる時間も確保できるしで良い事尽くめだ。
そして何より自分が幸村の家族となる事が出来る。
前世の時から幸村がそれを望んでいた事は知っていた。
仕方ないと諦めながらも、何処かで彼は親や家族の繋がりを求めていた。
あの頃は身分や立場もあって叶えてやれなかったが、今ならば。

(そう考えると、旦那が女の子で良かったかもな)

佐助はふとそう考える。
別に幸村であれば性別など気にはしないが、女性であれば法的にも家族となる事が認められる。
その方が色々と便利な事も多い。

「さ、佐助、それは・・・」
「家賃とか生活費要らなくなったらさ、バイト辞めるかせめて土日の分減らしなよ。学校も俺様は辞めてもいいと思うけど・・・旦那は卒業したいよね、やっぱり」
「あ、当たり前だ!自分で決めた事を途中で投げ出すなど・・・ではなくてだな!」

まあ、学校は辞めなくても授業は9時過ぎまでだろうから然程遅くはなるまい。
仕事帰りに迎えにいけば一緒にいる時間は増えるし防犯の面から見ても一石二鳥だ。
うんうんそれがいいと、狼狽える幸村の様子にも構わず次々と決めていく佐助は今後の事を予定立てていく。
まず引越しの準備をして。
物が少ないと言っていたから、それは業者に頼まなくても車を借りてくれば何とかなるだろうか。
諸々の住所変更に、役所に行って婚姻届も貰って来なければ。
出来れば幸村が夏休みの内の方が良いから、そう考えるとあと2週間程度しかない。
上手く有給が取れるだろうか。
自分の仕事の状況はどうだったか。

「あ、でも、旦那未成年だから親の承諾いるじゃん。挨拶いかなきゃダメかなぁ・・・でも俺様、顔見たら殴っちまいそうなんだけど」

幸村が恨んでいなくても、幼少の主を苦しめた人間を目にして果たして己は冷静でいられるだろうか。
甚だ疑問だ。
ねえ旦那、と視線を幸村に戻せば、幸村は何とも言えない表情をしていた。
驚いたような、呆れたような、悲しそうな、嬉しそうな。

「お、お前・・・」

ハッと我に返って口を開くと、幸村は急に言葉を詰まらせて下を向いてしまう。
戦慄く唇。
それを一度ぐっと噛み締め、改めて言葉を発する。

「そ、それは・・・一度に、色々と飛び過ぎだろう・・・」

言われて気付く。
そう言えば、自分達はまだ付き合ってもいなかった。

「そう言えば、そうか」
「そうだ、戯け」
「何か忘れてた」
「忘れるな、馬鹿者」

口ではそんな風に貶しているが、俯いて赤く染まった耳が幸村の気持ちを表していた。
ならばと佐助は仕切り直した。

「じゃあ、旦那」
「・・・何だ」
「結婚を前提にお付き合いして結婚してください」

結局何も変わらない要求を告げると、幸村は一瞬呆けた後に溜息を一つ。
そしてもう一度馬鹿者、と佐助を罵った後に、泣き笑いみたいに下手くそな笑みを浮かべた。
















幸村がクロスロードで着ていた服(ワンピ)は貧乏を見兼ねた高校の先輩のお下がりで、幸村の持ち服はその先輩のお下がりの可愛い系か激安のパンツ、シャツ、トレーナーのみと言う極端な状態である、と言うどうでもいい裏設定がありました。
今後は佐助の手によってどんどん増えていくと思われます。
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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