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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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先日はインテご参加された方お疲れ様でした!
私も前日から大阪入りをしていたのですが、初っ端人身事故で乗っていた電車が止まり、予約していた新幹線に乗り遅れると言うハプニング!
いやぁ、ドキドキしました!
無事帰ってこれて良かったです!(笑)

SSは成人式話です。
出勤途中に振袖姿の女の子を見たり、職場のバイトの子が送ってくれた写メを見てたら思わず女幸ちゃんにも着せたくなって妄想。
しかしながら、考え始めたのが成人式の夜だったので間に合う筈も無く・・・
3日も過ぎてからのうpですが、お暇つぶしの一環にでもして頂けたら幸いです。

幸せの降る場所」設定で、女体化妊娠設定ですので苦手な方ご注意下さいませ。











・佐幸
・女体化(妊娠設定)
・現代










【晴れの日に】












「苦しくない?」

とある和室の中。
背筋をピンと伸ばしてt立つ幸村の、前に跪いた男が手を止めて心配気に見上げて来た。
その問いももう何度目か。
思いながら幸村は大丈夫だと短く返す。
聞いた男、猿飛佐助はその返事に安堵したらしく。
それからまた手を動かし始めたが、少しして幸村の身体にくるりと布を巻き付けるとまた手を止めて同じ問いを繰り返す。

「どう?大丈夫?苦しくない?」

その気遣う気持ちは感謝すべきものかも知れないが、こうも頻繁だとありがたみも減るというものだ。
幸村はやはり何度目か分からない先と同じ答えを返し、溜息を一つ吐いた。

「大丈夫!?どっか痛い!?帯きつすぎた!?」

するとそれを聞いた佐助が慌てたように矢継ぎ早に問いかける。
どうやら溜息を辛いものと勘違いしたらしい。
全く違うのだが。

「だから、先程から大丈夫だと言っているだろう。お前、ちょっと心配が過ぎるぞ」

その余りの慌て様に、幸村は佐助の額をペシリと叩いてとうとう言った。
普段は冷静な男だと言うのに。
この変わり様は何なのだ。



今日、幸村は成人式を迎えた。
この時期は天気が荒れる事も多々あるが、幸いにも今年は晴天に恵まれ。
二重の意味で将に晴れの門出と相成った。
今はその式に参加する為に着物を着付けて貰っている所だが、佐助は帯の締め付けが心配らしく。
故に先程からしつこいぐらいに聞いてくると言う訳だ。
確かに普段着慣れない着物は窮屈だけれど、別に初めてと言う訳ではない。
それなりにいいところの、所謂お嬢さんである幸村はパーティーなどに呼ばれることも間々あり、着物を着て出席した事も何度かある。
窮屈なのはいつもの事。
それは十分に知っている。
しかし、それに対して佐助も反論する。

「けど、今はいつもと違うでしょ!」

佐助が言うのは幸村の体調面の問題だ。
今、幸村はお腹に佐助との子供を身籠っている。
まだ二か月なのでふくらみは目立たないが、佐助はそれが心配でならないらしい。
しかし、それでも気にし過ぎだと思うのだが。

「そもそも、洋服などなかった頃は妊婦も皆着物だったのではないか」

そう。
これくらいでどうにかなる訳がないのだ。
それは佐助も知っているだろうに、何故か延々彼の心配は留まる所を知らない。
何しろ、着付けにあたって急に美容院では不安だと言いだし。
学んでいても専門と言う訳ではないし、皆着付けを頼むから忙しいだろうと言う事らしい。
まぁ、それは確かで。
忙しい日に幸村一人に掛かりきりになどなれる筈がないのは当然だ。
結果どうしたかと言えば、佐助はつてを当たって着物の先生を態々探し出してきた。
おまけにそれでもまだ安心出来なかったのか、最後には自分でその先生に着付けを習って覚える始末。

「だって、気分悪くなったり苦しくなったりしたら直ぐに緩められた方がいいでしょ?」

他にも何かあった時に直ぐに対応出来るようにと。
それは確かに助かるけれど。
年末年始でただでさえ忙しい時期だったと言うのに。
貴重な休みを削ってまで。
嬉しいと言うより寧ろ呆れてしまう。
まぁ、そこには一緒に過ごす時間が減った事への不満も多分に含まれているのだが。

「だから俺はスーツでいいと言ったではないか」

拗ねたように唇を尖らせ幸村は言う。
妊娠云々を抜きにしても、元々窮屈なものが苦手な幸村は、妊娠発覚後にこれ幸いと式の参加をスーツにしようと進言した。
しかし、佐助を始めとする周りが許さず、それが叶わなかったと言う経緯があり、言葉は自然とどこか恨みがまし気なものとなるのは仕方がない。

「だって、旦那の振袖姿見たかったんだもん!」

そんな幸村の不満を、佐助はその問答をした時と同じ台詞で切り返す。

「旦那が着物着てくれるのは貴重だし、何より振袖はこれが最後なんだよ!?」

佐助と幸村は今は婚約関係だが、今年の春に籍を入れる予定だ。
振袖は一般的には未婚の女性が着るものとされている。
つまり、恐らくこの成人式が幸村が振袖を着る最後の機会なのだ。
だから譲れなかったと佐助は言う。
そしてそれは家族も皆同じ意見だった。
結果、押し切られる形で幸村は振袖を着る事になったのだ。
因みに、式の後は家族揃って食事の予定だが、その前には見納めだからと一家総出の写真撮影大会になるであろう事は想像に難くない。
と言うより、着付けをしている部屋の外には既に兄の信幸がビデオカメラを片手にスタンバイしているのを幸村はまだ知らない。

「もう、皆楽しみにしてるんだから!」

佐助は熱弁を振るう。

「お館様も、自分が選んだんだから絶対に似合わない訳がないとか言って・・・」
「お館様が!?」

佐助の言葉に幸村は目を輝かせた。
幸村が今着ている赤い桜の花柄の振袖。
実を言うと、幸村は今日の準備を何もしていなかった。
スーツでいいと思っていた事も有り、家にある着物で十分だと思っていたのだ。
普段着ているものが、振袖か色留袖か訪問着かも余り気にしていなかった。
だから今朝になって初めて見るこの振袖が当たり前のように衣桁に掛けられていて驚いたのだが。
しかしそれも佐助が用意したのだとばかり思っていた。
まさか、信玄が選んだものだったとは。

「赤はやっぱり人気があるから、被らないように朱色とかちりめん柄のとかも考えたんだけどね。お館様が旦那には絶対赤だって言ってさ」
「何と、有り難い・・・」
「帯を選んだのは信幸様だよ。金と銀で迷ってたけど、華やかなのよりもシンプルな方がいいって」
「兄上まで・・・」

幸村は感動に打ち震えた。
敬愛する二人が自分の為に時間を割いて探してくれていたなんて。
身に余る光栄だ。
因みに、その最中に二人が、同じ赤であっても幸村より似合う者がいる訳がないから問題ない、だの、幸村は自身が輝いているから合わせるのはシンプルな方がより引き立っていい、だのと、身内バカ全開の事を言っていたのだが、それは佐助は言わなかったので幸村は知る由もない。
佐助がそれに同意しながら付き合っていた事も、だ。

「だから、最善を尽くして一番可愛い状態で、恙なく今日一日を過ごして欲しいってね」

はい出来た、と佐助は最後に帯締めを結んで笑う。
ポンと帯を叩こうとして止め、替わりにそっと撫でたのはお腹を気にしての事だろう。
やはり心配性だ。
おまけに、然程苦しさを感じないのに後ろを振り返ってみても着崩れる気配がないのは流石としか言いようがない。
全く、何をさせても器用な男だと感心する。
着付けが終わると、佐助は幸村を鏡の前へ誘い、仕上げに髪を整える。
この髪も着付けの前に佐助がやったものだ。
後ろ髪を緩く纏め、着物の柄と同じ桜の飾りの簪で止めただけの非常にシンプルなものであるが、余りゴテゴテしたのを好まない幸村好みになっている。
全てが終わると佐助は色々な角度から幸村を見て、可愛い可愛いと繰り返し、やがて満足したのか草履と鞄を取りに幸村の傍を離れる。
部屋の端に置かれた大きな箱の中から目当てのものを取り出して。
それを待ちながら幸村は鏡を眺めていた。
髪も化粧も全体的にシンプルだが、美容師に頼んだ時より自分らしく纏まっている気がするのは不思議なものだとぼんやりと思う。
まぁそれは、誰よりも幸村を知る佐助が施したからであろうが。
そう考えるのは妙に気恥ずかしくもあるものだ。
照れ隠しに自分から着物の方に視線を移すと、改めて見てふと気づいた事があり、幸村はある一点で視線をぴたりと止めた。
今まで振袖にしか目が行かず、また先程佐助が何も言わなかったので気付かなかったが。
こうして全体を見て目に付いたもの。
思わず口元を緩ませる。

「はい、お待たせ!」

そうこうしている内に佐助が戻ってきて、鞄を幸村に持たせると手を取って先へ促す。

「ほら、お館様も信幸様も待ってるよ」

導かれるまま入口に向かい、草履を履いた幸村は問い掛ける。
先程気付いた事を。

「なあ、佐助」
「何?」
「振袖と帯を選んだのはお館様と兄上らしいが、帯揚げと帯締めを選んだのはお前か?」

鼻緒の具合を確かめている佐助を、見下ろしてニヤリと笑う。
すると佐助は照れたように頬を掻いて、視線を横に逸らした。

「あー・・・分かっちゃった?」
「分からいでか」

銀に映える深緑の帯締め。
そして、胸元に控えめに色を添える若草色の帯揚げ。
赤が幸村の色と言うなら、緑は佐助の色だ。
分からない訳が無い。

「二人にも笑われたけどさぁ」

それでもつい選んでしまったのだと佐助は言う。
勿論、色合いも考えた上での事であろうが。
自分の色をどうしても身に付けさせたいと佐助が思ってくれたのだと思えば、何とも嬉しくて擽ったいような心持ちになる。
一日ぐらい、窮屈なのを我慢してもいいと思えるくらいには。
幸村は笑って、まだ照れを残しながら立ち上がった佐助の手を取る。

「では、そろそろ行くか。お館様と兄上を余りお待たせする訳にはいかぬ」
「転ばないように気を付けてよ?」

最期まで念を押すのを忘れない佐助にまた苦笑する。
本当に、この男は。
それでも溜息は飲み込んで幸村は歩き出した。
扉の向こうで信玄たちの声がする。
幸村は笑顔で扉を開け、佐助の制止も聞かぬまま二人に向かって駆け出した。








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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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