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佐女幸幸せ家族計画4つめです。
pixivに「幸せの降る場所」を投稿した所嬉しい事にコメントを頂き、その華夜様とのお話で滾ったネタです。
あと、最初に小ネタ4つと言いましたがもう一つありますのでお付き合いいただければ幸いです。
【幸せ家族計画④】
とある朝、信玄は朝食の終わりを見計らったかのようなタイミングで突然家に現れ、玄関先で頼み事があるのだと土下座をする佐助に困惑していた。
6歳の時に見つけ施設から引き取り20年経つが、仕事以外で佐助に頼み事をされるのは記憶にある限り初めてだ。
前世の忍としての習性が抜けきらないのか、物欲に乏しく過ぎる望みを持たない彼は、信玄を頼ると言う事を殆どしない。
これまでの学費でさえあくまで借りると言う体で、就職をしてから少しずつ返しているのだ。
息子のように思っている信玄からすれば些か寂しいくらいだ。
そんな彼の珍しいお願いと言うなら出来得る限りで叶えてやりたいと信玄は詳しく話を聞いたのだが。
佐助の願いとしては、夫婦の意見がどうしても一致しないので何とか幸村を説得してほしいとの事。
夫婦の意見の相違などと、すわ離婚の危機か、いやこの二人に限ってと首を捻れば案の定。
「旦那が安定期に入った途端に鍛練するって聞かなくて…!大将からも止めて下さい!」
余りの重さとは駆け離れた相談に、信玄は思わず拍子抜けしたのだった。
しかし、佐助はあくまで真剣らしい。
「もう、大人しく養生してて欲しいのに、あっちへフラフラこっちへフラフラ、旦那ってばちっともじっとしててくれなくて…」
取り敢えず玄関先ではと中へ招き入れ、リビングに入れば座った途端に俯いてこの有り様だ。
「まあ、お主の心配する気持ちは分かるが、少しは運動もした方がいいと言うしのう」
少しは妥協してはどうかと信玄が宥めると、珍しくもキッと信玄を見返し反論する。
「そりゃ、散歩とかプールでウォーキングとかなら俺様だって止めませんよ!」
全く動かないと言うのもお産には良くないとは佐助も知っている。
だから一般的に推奨されている運動迄をも制限するつもりはない。
しかし。
「ランニングだの石段上りだのスクワットだのは適度な運動を越えてるでしょう!?」
それはもう、遥か彼方に。
わっと泣き出す佐助に、信玄はああ、と乾いた笑いを浮かべる。
確かにそれは適度の範疇を超えている。
妊婦がすべき運動ではない。
しかし幸村ならばやりかねない。
あの愛弟子の性格は佐助の次くらいには熟知している。
どうしたものかと信玄が駿巡していると、ふと泣くのを止めた佐助がハッとした表情で玄関の方を見るのに信玄は何事かと様子を見守った。
「やっぱり…!」
そして佐助がそう呟いた直後。
「お館様ああぁあ!真田幸村、暫しの間道場をお借りしたく参りましたぁぁ!」
玄関から劈く様な叫び声。
信玄が振り向いた時には佐助は既にそちらに向かって走り出していた。
「旦那!やっぱり来た!いくら安定期でも道場は止めてって言ったでしょう!?」
「さ、佐助!?何故ここに…!?いや、されど門下生に混じって稽古をする訳ではなく、ただその前に少し身体を動かそうかと…」
信玄が歩いて廊下に出ると、そこでは佐助が幸村に取りすがるような形で訴えていた。
幸村は佐助が何故こんなにも必死になるのか分からない様で、何処か狼狽え気味だ。
「身体動かすってどの程度!?何しようとしてたのか言ってみなさい!正直に!」
「い、いや、普通に道場の掃除と、準備運動と、素振りと、走り込みと、スクワットからのスクワットジャンプと、あと軽く打ち込みを…」
「やめてええぇぇぇ!!」
幸村の告げる運動の内容に、徐々に蒼白になって最後には絶叫が響く。
「何でそんな無茶ばっかするの!?何かあったらどうするの!!」
「いや、だが、適度な運動は必要だと…」
「それは適度じゃありません!過度な運動です!」
先程の信玄との会話と似たようなやり取りだが、恐らくこれも初めてではないのだろう。
佐助は既に半狂乱だ。
必死過ぎて口調がおかんの様になっているが、それすら気付いていないのか。
さめざめと泣き崩れている。
幸村は幸村で訳も分からず佐助に落ち着くようにと宥めている。
そんな夫婦のやり取りを見ながら信玄は苦笑して。
「平和じゃのう」
佐助が聞いたらまた絶叫しそうな言葉を呟いた。
終
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。