佐女幸幸せ家族計画５つめ。
これで一応ラストです。
また何か浮かんだら続くかも知れませんが・・・（佐女幸妄想楽しいです(*´ω｀)）

一先ず、お付き合い下さり有難うございました！！










【幸せ家族計画⑤】

週末の佐助と幸村は、佐助が休みの取れる日は二人で買い物に行くと言うのがこの夫婦の常であった。
そうして一週間分の食料や日用雑貨をまとめ買いする。
幸村が身籠ってからは尚更。
何か必要なものを切らして佐助が仕事の間に幸村が重たいものを買いに出る事のないよう。
常に予備を一つは欠かさぬようにと、より一層買い溜めておくようになった。
そんな風に大量買いをする為、普段行くのは大型スーパーやドラッグストアが主であるが、この日は出産子育てに入り用な物をと、足を伸ばして大きなショッピングモールまで二人はやって来ていた。
否、今回は二人ではない。

「これはまた、広いデパートだのう！」
「いや、大将、デパートじゃなくてショッピングモールですって」
「幸村、迷子にならないよう気を付けなさい」
「心得申した！兄上！」

加えて二人。
養父である信玄と、幸村の兄である信幸。
祝いの品を選ぼうと二人も共に行くと言い出し、計4人となった面子での週末の外出と相なったのであった。
人通りの多い場所でこの4人はとにかく目立つ。
何しろ目を奪うような美少女と、よく似た一目で兄妹と分かる面持ちの柔らかな物腰をした美青年。
美しいとは少し違うが整った容貌の青年に、立派な体躯の壮年の男。
おまけに内二人は声がやたらと大きく騒がしいので見るなと言う方が無理な話だ。
衆目の視線を一身に受けながら、しかし誰一人としてそれには頓着せず買い物に興じる。
普段であれば佐助くらいは人目を気にしそうなものであるが、今の彼はそれどころではない。
何しろ最愛の身重の妻があっちへフラフラ、こっちへフラフラ。
とにかく目が離せないのだ。
いつもと違う場所な上に、信玄と信幸が一緒であるためはしゃいでいるのだろうが。
見慣れぬ物を見つける度に走り出す幸村に佐助としては気が気ではない。

「旦那！走らないでってば！」
「何だ！これくらいで転びはせぬぞ!?」
「それもそうだけど、人にぶつかる・・・って、前！」

言った傍から若い男性にぶつかりふらりとよろける。
佐助が声無き悲鳴を上げる。
そして忍もかくやと言うスピードで走り寄ると、寸でで背中を支えて事なきを得た。

「もう、ほんっと、勘弁して・・・俺様を殺す気!?」
「大袈裟な・・・ちょっとよろけただけではないか・・・」

あっけらかんとした幸村と、何で分かってくれないのと必死の佐助。
それを少し離れた所で眺める信玄が豪快に笑う。

「何じゃ、佐助。情けないのう」
「佐助があんなに慌てる所は初めて見ましたよ」

隣でくすくすと笑みを溢す信幸は何故かハンディカムを手にしており、信玄は何事かと覗き込む。

「何を撮っておるのだ？」
「いえ、仲睦まじい夫婦の姿を記録しておこうかと」

元は可愛い妹の自宅での姿を少し撮ろうと思って持ってきていたのだが、思いの外佐助の変わりようが微笑ましかったので今から思わずカメラを構えてしまった次第だ。

「昔はちっとも感情を表さない子でしたけど…」
「変われば変わるものよの」

そんな会話を交わしながら、再び歩き始めた二人を追う。
佐助なりの対応策なのか、今度はしっかりと手を握っている所にまた笑みが溢れる。

「今度佐助に見せてあげよう」
「その時は儂も呼ぶのたぞ」

信幸は純粋に義弟の変化を微笑ましく思い。
信玄は何処と無くからかいを含んで。
そんな画策をしているとは露も知らず。
佐助は二人が追い付いてくるのを幸村と二人並んで待っている。
繋いだ手は離さぬまま。

「お館様！兄上！急いで下され！」

エレベーターが来てしまいますぞと手を振る幸村につられて己の手までも一緒に揺れるのにも構わずに。
信玄と信幸はそれを見てまた笑いながら呼ばれるままに二人の元へと急いだのだった。





終









ちょっとした裏設定

・兄上：30歳。幸村とは10歳違う。20歳の時に両親が事故で亡くなり、以来信玄の助力を借りながら幸村を育てる。信玄の持つ会社の一つの社長さん。
・お館様：色んな事業に手を広げるやり手実業家の資産家だった。今はメインの会社を兄上に、その他も人に任せて自分は道場の師範の方に熱中してる。

こんな感じでした。