【幸せの降る場所】設定の佐女幸の幸せ家族計画をもそもそと妄想中・・・
過保護助、とても萌えます。

今の所４つ程書きたい小ネタがあるのですが、こちら（ブログ）は書き終わった順に順不同で投下。
pixivには４つ書き終わってから纏めて上げたいと思っております。
会話文だけのものもあったり本当に適当ですm(__)m










【幸せ家族計画①】

今、佐助は幸せの只中にいた。
週末の土曜日。
それなりに忙しい時期だが社長と会長直々の命で休みを取り、家でのんびりと妻と過ごす。
正確には式や書類はまだなので妻ではなく婚約者と言う括りであるのだが。
既に同居は以前からしており、挙式の準備も滞りなく進んでいる。
婚姻届も記入済で後は役所に出すだけだ。
おまけに彼女のお腹の中には二人の子供も授かっている。
そのような関係の彼女を多少早くに妻と呼んでも差し支えはないと思われる。

妻幸村は、今は陽当たりのいい窓辺で一人用のソファに座り、肘掛けに身体を倒してくうくうと寝息を立てている。
本当は身体に負担をかけぬよう眠るならベッドにして欲しいのだが、佐助が休みの日の日中は部屋に行くのを嫌がる幸村は断固としてその願いを聞き入れてはくれない。
折角一緒にいられる時に態々離れるのは嫌だと言う事らしい。
寝ているのならば傍にいなくても大差無いのではないかと思わなくもなかったが、目が覚めた時にお前の姿が見えぬのは、気配が感じられぬのは嫌だ、などと。
そんな可愛い事を言われてしまえばさしもの佐助も折れざるを得ない。
そも、幸村の身体を案じたのは本心からだが、後者の寝ていれば一緒と言うのは単なる照れ隠しの建て前だ。
内心妻の可愛さに悶絶しながら仕方ないなぁと言った己の表情は果たしてどの程度取り繕えていたのか。
佐助も正直自信はなかった。

そんな訳で、佐助は今窓辺で眠る幸村を見ながら幸せに浸っていた。
同じ窓際で。
小さなテーブルを挟んで置かれた同形の一人用のソファに座り。
見詰めるその寝顔の、食べ物の夢でも見ているのか時折モゴモゴと口元が動くのが可愛いなぁとつくづく思う。
少しして開いた唇が己の名の形を刻んだ時など尚更だ。
今すぐぎゅうぎゅうと抱き潰してやりたい衝動にかられる。
しかし、例え健康且つ体力馬鹿と言われる幸村でも身重の身体では負担を感じぬ筈はない。
そんな状態の彼女の眠りを妨げたくはないので仕方なしに佐助はぐっと我慢をする。
まぁ、口元が緩むのくらいは誰も見ていないし勘弁してもらいたいところであるが。
そうして寝顔を眺めながら、佐助は土曜の昼下がりに何をしているかと言えば編み物に耽っている。
足元には転がる幾つもの丸い毛糸の玉。
手元には細い編み棒。
赤ん坊の靴下やおくるみを目的に始めたそれであったが、細かい作業は思いの外性にあったらしく。
今では幸村の靴下、腹巻き、帽子、マフラーなど作品は着々と増え続けている。
今はストールの作成に着手中だ。
政宗などにはそう言うのは普通母親たる幸村がやるもんじゃねぇのか、と呆れられたがどうでもいい。
そんな拘りなど一体何になると言うのか。
己が出来る事で幸村や子供の為にしてやれる事だと言うのならやらずしてどうすると言うのだ。
性別や一般論など些末でしかない。

そうして視線は幸村から離れず手元のみを忙しく動かしながら、佐助は幸せだなぁと考える。
こんなに幸せでいいのだろうか。
言葉にすれば幸村に怒られる事は必須なので考えるに留めているのだが。
きっと幸村は唇を尖らせ、頭突きか拳か、己に一発食らわせてから言うだろう。
良いに決まっているだろう馬鹿者が、と。
そう怒る幸村を考えるだけでまた幸せな気持ちになるのだから、全く過ぎた悩みと言えるだろう。
ふっと思わず笑いをこぼして幸村を見つめていると、唐突に幸村が顔をしかめ、むずがる様に小さく唸る。
それから小さなくしゃみを一つ。
佐助は慌てて立ち上がった。
日の差す窓際で、部屋の空調も効いてはいるが、眠っている内に体温が下がったのだろう。
そこまで気が利いていなかった。
辺りを見回し、いつかの買い物後に脱いで椅子に掛けてあった己の上着を見つけてそれを被せると、幸村は生地を掴んで気持ちよさげに上着を抱き込むように丸まってまた寝息をたてるのに安堵する。
早くこのストールを完成させなければと佐助は改めて思い、ソファに座り直してまた編み棒を動かし始めたのだった。



完成後、それも嬉しいが佐助の上着の方がいいと幸村に言われて、嬉しいのか残念なのか複雑な気持ちになる事を佐助はまだ知りもせず。





終