愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
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先日、ちょっと時間が出来た時に久しぶりに4をプレイしたのですが、信長様で躑躅ヶ崎に出向いた際。
信「ちゃんと(幸村を)躾とけ!」
佐「いやぁ、あんま人の話聞かない人で」
↓からの!!
佐「うちの大将侮るのもその辺にしてくんない?(マジ切れ)」
に非常に萌えまして!!(台詞はうろ覚えですスミマセン)
カッとなって書きました。
自分が怒ったりからかったりするのはいいけど、人に言われるとマジ切れしちゃう佐助さんマジ佐助さん!!
そんな佐助さんが好きです。
書き始めた発端は4ネタですが、SS自体は4全く関係ありませんのでご承知おき頂ければと思います。
・佐幸(+慶次)
・戦国
【理不尽語り】
前田慶次は大きな体躯とは裏腹に子供のような一面を持っており、よく叔父の利家に悪戯を仕掛けてはその妻まつに叱られていた。
まつの説教は非常に長く恐ろしく、その為旅を覚えてからは慶次は悪戯の結果を見届けてから後はほとぼりが冷めるまで他国に逃げるようになっていた。
逃亡先は以前は専ら越後であったが、最近は甲斐の上田にも良く行くようになった。
越後は頻繁に行きすぎてまつの手が回るのが速くなってきた事と、もう一つは上田を治める真田幸村と親しくなったことがその理由だ。
否、親しくなったと言う表現が正しいかどうかは分からない。
幸村の態度はそっけなく、慶次が一方的にそう思っているだけの可能性もある。
何しろ、出会いは幸村の治める上田の城下を荒らした上に大切な部下を殴ると言う非常に印象の宜しくないものだったし、加えて生真面目な幸村は慶次の浮ついた性格がどうにも受け入れ難いようで、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
まあ、それでも訪ねれば無下に追い返されると言う事はないので、そこそこ親しいくらいには思ってくれているのかも知れない。
これもまた勝手にではあるが、慶次はそう思っていた。
「まったく・・・うちは駆け込み寺じゃないんだけどね!」
今日も今日とて匿ってくれと上田の城を尋ねると、文句を言いながらも城の中に入れてくれた。
と言っても実際文句を言っているのは幸村の忍である佐助だ。
幸村は今この場にはいない。
「そう言うなって。幸村は何も言わなかったじゃん!」
「旦那は今それどころじゃないだけだよ」
慶次の言葉に佐助は直ぐ様反論する。
確かに慶次が訪れた時幸村は一瞬だけ顔を出したが、その時の様子は明らかに快くと言った雰囲気ではなく。
慶次を見るなり顔を顰め、それから呆れたような表情をしていた。
それから何も言わずに後を佐助に任せ、自分は直ぐに部屋に篭ってしまったが、それは文句が無いと言うよりはその暇も惜しいと言った様子だった。
「仕事が溜まってるのかい?」
「そう。ここ暫くサボってたりしたからね」
聞くと、数日前まで佐助は上田にはおらず暫く長期の任務に出ていたらしい。
その間幸村は城を抜け出しては山へ行ったり城下へ行ったり。
あちこちへ逃亡を繰り返し。
極めつけは奥州だ。
どうやら政宗から手合わせを望む手紙が来たらしく、それを見たら我慢が出来なくなったとの事。
部下の目を掻い潜り単身奥州へ向かったのだそうだ。
佐助がいなかったとは言え、見張りの忍の目すら掻い潜るとは流石である。
おかげで、長期任務から漸く上田に戻った佐助の最初の仕事は奥州まで飛び幸村を連れ戻す事になったらしい。
まあ、それも数日前の話らしく。
以来佐助の監視付きで城に篭りきりで政務に励んだ甲斐があり、溜まったそれらももう間もなく終わるそうなのだが。
しかし、何日も閉じ込められて只管机に向かわせられるとは。
それは文句を言う気力もなくなるだろう。
慶次は幸村の先程の態度の理由を知った。
「そ、そこまでしなくても・・・」
想像するだけで逃げたくなるような状況に、幸村に同情した慶次は思わず庇うような言葉を口にするが、佐助は自業自得だと言って聞く耳を持たない。
どうやら、仕事を溜めこんだだけでなく、政宗との手合わせで幸村は城から城下からあちこちを壊してしまったらしい。
その請求が小十郎からしっかり来ているのだと、佐助は痛むらしい眉間を抑えていた。
見せてもらった奥州からのその書簡には、確かにかなりの金額が記されていた。
折半なのは小十郎のせめてもの温情だろう。
それでも痛い出費には違いない。
これは仕方ないかもと慶次は苦笑して続く佐助の愚痴を聞く。
「大体、あの人は後先考えなさすぎなんだよ。何も無かったから良かったものの、もし道中とかに何かあったらどうすんのよ!」
仮にも一軍の将であると言うのに。
戦場でもそうなのだと、佐助はここぞとばかりに吐き出す。
「基本前しか見てないんだよね!周りに目が向いてないんだよ。幾ら言っても後ろはお前が護るのだから問題ないとか言っちゃってさ!」
「あー・・・幸村なら言いそうだね」
「そりゃ、護りますよ?傍にいる時は傷一つ付ける気はないけどさぁ、いない時とかどうすんのよ!」
今回もそうだ。
佐助のいない間に幸村は奥州まで行ってしまった。
せめて帰りを待ってからにしてくれれば、佐助とて手合わせくらいは許しただろう。
そうすれば道中も付き添う事が出来、安全だった筈だ。
「いくら俺様を信頼してくれてても、傍にいなきゃ流石に限界があるっての!」
ん?――と。
何だか愚痴が違う方向へ行っているようだが気のせいだろうか。
思いながらも慶次は黙って話を聞く。
「お金の事もさ、自分が出向いて壊したんだから弁償するのは当たり前だーとか言ってさ。そもそも向こうが呼びつけたんだし、独眼竜が見栄張っていいって言ってるんだから、そのままにしときゃいいのに!」
やがて佐助の話は金銭問題へ移る。
そう言えば、真田含む武田は常にジリ貧だと聞いている。
国力はそれなりに豊かな筈なのに。
「幸村、そんなに金遣い荒らそうには見えないけど・・・そんなにいつも厳しいのかい?」
聞くと佐助が答える。
「自分で欲しがるのは甘味ぐらいだけどね。ただ、周りに使っちゃうんだよ」
身近に慶事があれば必ず宴。
これは完全に信玄の影響を受けているのだろうが。
また、領内で催される祭りは出来る限り協力して盛大にしようとする。
他にも飢饉があれば惜しまず民に倉を開ける。
「領民思いなのはいいけど、領主の自分の分減らしてどうすんだっての」
その分民には慕われてるけどね、と佐助は付け足した。
聞きながら、慶次は段々と既視感を覚え始める。
文句の様でありながら一概にはそうとは言えない。
これは、まるで実家でまつの利家に対する愚痴を聞かされている時の気分だ。
「苦しい時でも部下には出来る限り変わらぬ禄をとか言ってさ。臣下の方々はともかく、忍なんて少しくらい削ったって文句なんか言やしないのに」
寧ろ危険な任が多いのだからと多く取らせようとするらしい。
無論、装備などの必要経費は別として、だ。
何とも忍を大事にする幸村らしいが。
「俺ら忍に回すくらいなら、自分の鎧でも着物でも新調しろっての!」
身に着けるものに関しては、幸村が武芸以外に興味が薄い事もあって着られる内は着ると言うのが幸村の中では当然の事らしい。
そして、何か処分するものが出て漸く新しいものを新調する。
先程慶次が会った時に見た、今日の幸村の着物も中々年季の入ったものだった。
もう何年も着ているだろう事は想像に難くない。
佐助はそれが不満なのだそうだ。
それにしても、佐助は幸村にはよく給料を上げろと言っているのだと本人から聞いているが。
随分と話が違う。
思ったけれど、慶次は口を噤んだ。
どちらが本心かは一目瞭然だ。
「ちょっとは計算とか貯蓄とか考えないのかね?いつも俺様がどれだけ苦心してると思ってるんだか・・・」
そもそも、金の工面ってそれ忍の仕事じゃなくない!?
勢い良く振り返られて苦笑する。
確かにそれは忍の仕事ではない。
佐助の苦労はよく察せられた。
だから思わず口にした。
「幸村が甘えちゃってるんじゃないの?あんたが何でも熟しちゃうから」
「あー・・・それはあるかもねー・・・付き合いも長いし・・・」
「ちょっと親離れさせてみたら?もう元服も済んで長いし。政務にも携わってるのに、自分で勘定出来ないんじゃまずだろー」
「・・・・・・・・・」
「少しは自分で考えさせないとさあ」
慶次の意見を佐助は黙って聞いている。
それを受けて慶次は調子よく続ける。
「周りを見ないってのもさ、真っ直ぐなのは幸村の良い所かも知れないけど、あんまりにも猪突猛進だと戦だけじゃなくて、交友とかでも致命的になるぜ?もっと余裕を持たせないと!」
な!――と慶次は笑って佐助の背中を叩く。
我ながら良い助言をしたものだ、と。
慶次としては苦労している佐助への労わりのつもりで。
そこに悪意は一片たりとも存在しなかった。
確かにしなかったのだ。
しかし、叩かれて前にのめった佐助は身体を起こすとにっこりと慶次に向かって笑顔を向ける。
その妙な迫力たるや。
慶次は思わず怯んで冷汗を垂らす。
そして佐助は狼狽える慶次を他所に、そのままその笑っているのに笑っていない顔で慶次の首根っこを掴むと、重さの欠片も感じさせないような様子でその巨躯を引き摺り連れ、慶次を門の外へと放り出す。
「え・・・えぇ!?」
突然の事に慶次が尻もちを付いた状態で呆然としていると、その隙に荷物まで運ばれてきてポンと放り投げられ。
そして。
「うちの旦那はああ見えてもちゃんと色々考えてるんでね。余計なお世話だよ、風来坊」
笑顔のまま一言。
明らかに機嫌を損ねているそれ。
弁明する隙も無い。
そうして門は音を立てて閉められたのだった。
「ちょ、待っ・・・別に幸村を貶した訳じゃないってー!!」
我に返って取り縋ってももう遅い。
門は固く閉ざされたまま。
そこで思い出す。
まつも利家の愚痴を言う癖に、同意すると機嫌が悪くなった事を。
少しばかり思い出すのが遅かったが。
「そりゃないよ~」
流石にこれはあんまりだ。
しかし、得てして愚痴とはそんなものだ。
理不尽な扱いに慶次は思わず天を仰ぎ、それからガクリと項垂れたのだった。
終
慶ちゃん、いつもごめんなさい。
そして更に申し訳ないおまけ。
↓ ↓ ↓
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【おまけ】
佐助に理不尽にも放り出されてしまった慶次であったが、夕方になって何とか再び城内に入れて貰う事が出来た。
行くとこも無く、今から他国へ行くには時間が少々遅すぎる。
そうして城下でぶらぶらしていた所、城からの使いが迎えに来てくれたのだ。
どうやら仕事を終えた幸村が慶次がいない事に気付いたらしい。
それは、泊めると一度言った事を反故にする訳にはいかないと全く幸村らしい理由で、別段慶次を心配してなどと言う訳ではなかったが。
それでも泊めてもらえるのは有り難いと慶次は城へ戻ったのだった。
「全く・・・まつ殿のみならず、佐助まで怒らせるとは。一体何をなされたのか」
一応客人であるからと、向い合って並べられた膳に手を付けながら、幸村は慶次を見て呆れたように問いかけて来た。
事情を知らないのだから仕方ないとは言え、まるで此方が何か悪さをしたかのような視線を向けられ、慶次は慌てて弁明をした。
単に惚気混じりの愚痴を聞かされ、最後に少し意見を言っただけなのだと。
寧ろ同情してくれないかと言う意図で慶次は幸村に泣き着いたのだが、聞いた幸村は予想に反し、ムッとしたような表情で眉間にしわを寄せる。
そして、下を向いてフルフルと打ち震えたかと思うと勢い良く立ち上がる。
「ずるいですぞ!」
余りの勢いに膳が揺れて音を立てる。
汁物が先に手を付けられていて零れなかったのは幸いだったが、幸村はそんなものを気にする余裕はないようだった。
「慶次殿ばかり、そのような・・・!」
「何が!?」
今の話の何処に羨ましがられる要素があると言うのか。
慶次は本当に分からなかったが幸村は聞かずに慶次の肩を掴んで揺する。
「俺に対して何か思う所がある時は包み隠さず申せと言うておるのに!」
「はぁ」
「俺には何も言わずにはぐらかして・・・慶次殿にばかり語るとは!」
「其処なの!?」
慶次は心外だと目を剥いたが、幸村は心底悔しそうだった。
よくよく考えれば惚気や愚痴など本人に面と向かって言うものではないだろうに。
幸村は納得が出来ないらしい。
「こうなったら、慶次殿!佐助が某について何と申していたか教えて下され!」
一言一句、間違いなく。
違えたら斬られそうな勢いで迫られ、慶次はそんなと悲鳴を上げる。
本当に今日は散々だ。
こうしてまたしても理不尽な怒りに晒されながら、慶次は明日には上田を離れ、もう逃亡先には選ぶまいと固く心に決めたのだった。
終
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早和
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自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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