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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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先日の天皇即位の日、その日付けの真田神社の御朱印が欲しくて上田に行ってきましたー!!
あと台風で被害に遭われたと言う山家神社も。
午前中は大雨でしたが雨の上田も良い物です・・・
 https://twitter.com/sayori_888/status/1186540383754342401
 
 
 
SSは以前に短編で書こうとして字数が収まり切らず以前にべったーにあげていたものです。
プロローグ(?)がちょっと拘ったお気に入り。










・戦国
・佐幸

※何でも許せる方向け










嫌なことは見たくない。
そう思って。

目を閉じ、人知れぬ心を隠し、そっと祝福の言葉を囁いた。





【晴天牧歌】





その日はとてもよく晴れた日であった。
主の門出に相応しいと佐助は一人空を見上げる。



今日は幸村が祝言を上げる日だった。

武田が天下統一を果たして暫く。
幸村は信玄からそろそろお前も身を固めてはどうかと見合いを進められた。
敬愛を通り越しもはや心酔と言っても過言ではない師の言葉を幸村が聞かない事など有りもせず、その後話はトントン拍子に進み何件もの見合い話が持ち込まれた。
天下統一を果たした武田の次代を担う若武者。
おまけに見目もいいとくれば女も親も群がらない訳がない。
殺到した見合い話をいなしながら、数日後幸村は祝言を上げる事を決めたと皆に告げた。

それを聞かされた時の佐助の心境は何とも複雑だった。
一応二人は互いに想いを告げ合っていたので。
とは言え忍が主と付き合うなど出来よう筈もなかったから。
ただ言葉を告げただけの関係。
いつかこんな日が来るとは思っていたが、いざその時を迎えてみれば目の奥が熱く痛んで佐助は目を閉じその言葉を聞いた。

その後佐助も準備を手伝えと言われ、幸村の着物を設えたり祝いの宴の準備をしたり。
忙しくしている間はまだ気が紛れたけど。
お前も共にと言われたがやはり当日は二人の門出を見守り祝う事は出来そうもなくて。
佐助は幸村の直接の警護を外れ国境の見張りをすると言って逃げた。

そんな佐助にかけられた声は。



「こんな所にいていいのかい?」

佐助の寄り掛かる木を見上げそう尋ねてきたのは顔見知りの慶次だ。
どうやら加賀から祝いの品を持ってきてくれたたらしいが、手に酒瓶がある辺り目的はその後の宴の方ではないかと佐助は思った。

「何が?」
「今日は幸村の祝言だろう?」

余り機嫌の宜しくない佐助が素っ気なく返すと慶次は不思議そうに尋ね返してきた。

それは祝ってやらなくていいのかと言う意味か。
それともこのまま何も言わずにいていいのかと言う意味か。
どちらかは分からなかったがどちらでもいいと佐助は切り捨てる。

「忍には関係ないさ」

そう。
佐助には元より関係ない事だ。
武士の婚儀も。
情愛も。
忍には必要ない事なのだ。

本当に必要ないと捨ててしまえるなら見届けられる筈なのだが。
その事実からは目を逸らし。

「まあ後でお幸せにくらいは言いにいくよ」

あんたも早く言いに行けばと言い捨てると慶次は何故か苦笑して。

「それはどうかな」

そう、意味深な台詞を吐いた。
後でじゃ許されないし、言う立場じゃないかもよとよく分からない言葉。
確かに忍如きが言う台詞ではないかも知れないが。
慶次らしくないなと言葉の真義を疑うと同時、聞こえてきた叫び声に佐助は意識を散らされる。

「さぁぁすけぇぇ!!」

その声には聞き覚えがありすぎる。
今日の為に設えた着物の裾も気にせず砂煙をあげて走ってきた幸村は、そのまま高く跳躍すると佐助に殴りかかってきた。

「お前は!晴れの門出に遅刻とは何事だ!しかも全く準備もしておらぬではないか!」

何とか拳を躱した佐助は狼狽える。

「何で旦那がこんな所にいるんだよ!祝言は?」
「お前がいないから探しに来たのだろうが!」

怒り心頭の様子の幸村に、しかし佐助は混乱した。

「祝言くらい、俺様がいなくたって大丈夫でしょうが!」

子供じゃないんだからと佐助は告げる。
幾ら親代わりと言えど、忍一人見ていなくても何ら問題はない筈だ。

言って自覚し落ち込んだ。
そうだ。
嫁をとればもう自分が幸村の世話をする必要はなくなる。
彼の傍に自分は必要なくなるのだ。

瞼の裏に交互に浮かぶこれまで二人で過ごした記憶とこれから彼が伴侶と定めた女性と過ごすであろう光景。
目を閉じ、顔を背け、祝いの言葉だけを告げ佐助は幸村を屋敷に戻そうとした――が。

「相手がおらんで大丈夫な訳がなかろうが!」

一人で祝言を上げろと空しい事を言うのかと呆れ返られ佐助は目を瞬かせる。
相手がいないとは一体どう言う事だ。

そんな佐助に今まで成り行きを見守っていた慶次からの助け船。

「幸村。佐助は自分が祝言を上げる相手なんだってわかってないんだと思うよ?」

慶次の言葉は佐助には図星であったが幸村には心底不可思議なものであった様だ。
訝しむ様な顔で佐助に告げる。

「俺はお前に祝言を上げるから準備を手伝えと言ったし、お前も共にとも言ったであろう?」

大体、互いに支え合い生涯を共にする相手などお前以外の誰がいると言うのだと。
幸村は最初から祝言と言うなら佐助しか考えていなかったし、想いも告げ合っていたから当然佐助もそのつもりだと思っていた。
しかし佐助は想いは交わしてもそれまでと考えていた。
だから伝わっていなかった。

「いや、でも忍となんてさぁ…」
「だから天下統一まで待ったのであろう。お館様もそろそろと仰られたしな!」

もう他国との繋がりを考える必要はない。
同盟の為の婚儀は不要となったのだ。

それでもまだ頭がついていかず戸惑う佐助に幸村はとうとう実力行使に出た。

「いいから行くぞ!これ以上お館様達をお待たせする訳にはいかぬ!」

座り込んでいた佐助を抱き上げ踵を返そうとする。

「慶次殿、申し訳無いが先に行かせて頂きまする。ご挨拶は後程屋敷にて!」

一礼をして走り出す。
離して、逃げぬか、逃げないから、しかし急がねば、急ぐなら俺様が抱いた方が早いから、そうか、第一あんた一張羅ダメにしてと騒ぐ二人に手を振り見送る慶次は思う。



嫌なことは見たくない。
そう思って。

(いたけれど、幸せそうな二人を見ていると思わずこぼれた苦笑に慶次は)

目を閉じ、人知れぬ心を隠し、そっと祝福の言葉を囁いた。





「どうかお幸せに」
















慶次は実はほのかに幸村の事を・・・





お題:「嫌なことは見たくない」で始まり、「どうかお幸せに」で終わる物語
条件:15ツイート(2100字程度)





最初のモノローグは佐助と見せかけ慶次のものだったと言う。
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早和
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自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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