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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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佐幸書き初めです。
ツイッタのアンケートより。投票して下さった方有難うございました!
安土城の話は年末のテレビから使わせて頂きました。










・佐幸
・戦国

※何でも許せる方向け










【年の初めの】











正月の上田の城は毎年俄かに忙しい。
気前のいい城の主が新年の挨拶に来る家臣達に酒や料理を振る舞う為城内ではその準備に追われるのだ。
更に外では流石に領民全員にそれらをとは行かないが、少しでも何か祝いをと城主自らによる餅つきが行われる。
その為この時期の上田の城はちょっとした祭りの様相を呈していた。



そんな上田の忍隊の長と城主たる幸村の傍付きを兼任する佐助は当然事前からその準備に携わる。
警備を担当する忍隊の采配を取り、他の人では速すぎて熟せない幸村の餅つきの相方を務め、更にその餅を部下に近隣の町村へ配らせる彼はこの城の他の誰より忙しい。

また、全く畑違いにも関わらず幸村に関わる事、即ちこの地に関わる事に於いてはあらゆる面で頼られる忍は何故か会計方まで兼ねている。
新年の準備、寺社への寄進、宴会の料理や酒に大量のもち米の用意などこの時期の出費は凄まじく。
加えて挨拶に訪れる家臣の子供達にお年玉まで幸村は用意をしているので、佐助にとっては色々な意味で頭の痛くなる時期であった。



「いっそ魔王さんの所みたいに逆にお金取っちゃえばいいのに」

天下に名高い安土の城では臣下達が城に上がる際に拝観料として金を取っているらしい。
斬新だが非常に有効でもある方法。
聞いた時佐助は素直に感心した。

しかしそれを聞いても幸村は呆れるばかりで。

「未熟なこの身を支えてくれる者達を感謝し労わりこそすれ、金を取るなど出来るか、馬鹿者」

予想していた答えに佐助はただ苦笑する。

「まぁ、あんたならそう言うよね」

何ともこの人らしい考えだ。
甘いと言われればそれまでだが仕方ない。
こう言う人なのだ、この城の主である真田幸村は。

おかげで佐助や会計方の頭痛の種は当分消える事はない。
だがこう言う人だからこそ皆が慕い、支えようとしているのも確かである。

織田や他国の様な上納金が無い代わりに臣下達はせめてもと毎年もち米や酒やらを事前に差し入れとして佐助にこっそり渡してくる。
町や村に餅を配る忍達は大抵そこで野菜やら甘味やら、何某かの土産を渡される。
幸村様にと。
いつも有難うございますと感謝の言葉と共に。

こんなにも民や家臣達から愛される稀有な人を変えてしまう事は佐助も結局望まないのだ。



また幸村が気遣うのも愛されるのも臣下や民達だけではない。

三が日が過ぎ、漸く慌ただしさが一段落した三日の夜。
これまで城の警備に餅の配布にと奔走した忍達に対しても幸村は差し入れとして料理と酒を忍小屋に運ばせた。
忍にそんな気遣いも贅沢も不要なのだと佐助が言っても年に一度の労わりの気持ちなのだからと幸村は毎年譲らない。

「お年玉とでも思っておけ」

そんな事を言うものだから、今年は佐助も調子に乗って尋ねた。

「俺様には?」
「何?」
「俺様にはないの?お年玉」

前述したがこの時期の佐助は本当に忙しいのだ。
城の誰より働いていると自負している。
忍隊がお年玉を貰っていると言うなら自分も強請っても誰も文句は言わないだろう。

「それなら、後で忍小屋で・・・」
「旦那からの差し入れが、後で戻って残ってる訳ないじゃない」

忍隊はどいつもこいつも主大好きの連中だ。
幸村から差し入れなどと言ったらもう即座に奪い合いが始まるに決まっている。
後でどころか今直ぐ戻っても恐らくもう残っていないであろう。
普通ならば長に残しておこうとするだろうが真田忍に於いてはその限りでは無い事を佐助は嫌と言う程知っている。
下忍達は考えるかも知れないが上の連中、十勇士連中がそう促す。
長を敬わないことこの上ないが、主に付きっきりの佐助は常に嫉妬の対象である為これもまた仕方のない事と言えた。

まあ佐助自身も飲食には特に興味はないのでそれぐらいは譲っても構わない。
それよりも欲しいものがある。

「年末から多忙だった俺様に、特別手当頂戴よ・・・」

それは己しか貰えないもの。
告げて幸村を押し倒した。

「お、お前っ、何・・・っ!」
「忙しくてそれどころじゃないって、ずっとご無沙汰だったじゃない」

姫始めもまだだしと佐助が笑えば幸村が焦ってもがき出す。

「ち、馳走と酒なら明日にでも用意、を・・・っ」

そんな言葉は口づけで遮り最後まで言わせない。

「だめ?」

訪ねれば幸村は此方を睨みつけてきて。
唇は駄目だと佐助を拒む様にぎゅっと結ばれていたけれど。
隙間をなぞる様に舌先で舐めると震えたそれがゆるゆると素直に開いていくのに佐助は深く笑み、差し出されたお年玉を受け取った。
















「ちょーっと貰い過ぎたかねぇ」

寝顔を見詰めて忍は笑う。





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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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