愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
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ツイッターでお世話になっている照焼先生のお誕生日に押し付けさせて頂いたものです。
先生おめでとうございました!
(多分)先生を知る切っ掛けとなった素敵佐幸絵をお借りさせて頂きました。
拝借した素敵絵。
https://twitter.com/tekateri1/status/1139873247070044160
・佐幸+慶次(+政宗)
・現代
・学バサ
※何でも許せる方向け
【箱の中は誰も知らない】
ここ数日、元気のない幸村を慶次は心配していた。
悩んでいるのか、或いは落ち込んでいるのか。
非常に気になるのだが、政宗に聞いてみても知るかの一言で一蹴された。
言葉はそれだけに止まらず、続けざまに。
「悪い事は言わねえから放っておけ。関わるな。時間の無駄だ」
友達の落ち込む姿にあんまりな言いようではないか。
普段は存外面倒見がいい彼であるのにと慶次は不思議に思ったが、今は幸村を元気付けるのが先決だ。
「まーくん冷たい!片倉さんに言い付けちゃうから!」
"片倉さん"と書いて"お母さん"と読みながら、慶次は泣き真似をしつつ幸村の元へと走ったのだった。
背後から聞こえた政宗のその呼び方止めろと言う叫びは聞こえなかった振りをした。
「ゆーきちゃん!」
そして数秒後、慶次は今度は幸村の前に立っていた。
クラスの自分の席に座り俯き溜め息を繰り返していた幸村は、その声にのろのろと顔を上げる。
「前田殿・・・」
一応反応は返るがそこにいつもの覇気はない。
「その呼び方はお止め下されと何度も言うておりましょう」
ほんの少し前に同じ台詞を聞いた気がするがそれはさて置き。
これは力になってあげなければと慶次は笑顔で話しかけた。
「幸村、何か最近元気ないみたいだからさぁ。俺で良ければ話聞くよ?」
切り出すと幸村は最初はそんな事はないと否定した。
しかし慶次が根気よく尋ねると漸く胸の内を明かしてくれる。
今自分は悩みがあるのだと。
「どんな悩み?」
「それが、佐助の事なのですが・・・」
佐助は幸村の幼馴染みだ。
そう言えば幸村の異変に彼が出てこないのはおかしいものだと慶次はこの時気が付いた。
あの幼馴染みに過保護な男がこんな状態の幸村を放っておくとは考え難い。
しかしそれも悩みの対象が彼であるなら納得だ。
何だろう。
喧嘩でもしたのだろうか。
今朝も登下校は一緒であったし、お昼も相変わらず二人揃って屋上に行き仲は良さそうに見えたけれど。
思って聞くと。
「いえ、そうではなく・・・佐助への贈り物について悩んでおりまして・・・」
曰く、佐助がもうすぐ誕生日で、何を贈ったらいいかをずっと悩んでいるとの事だった。
何だ、と慶次は安堵する。
もっと深刻な悩みならどうしようかと思ったが。
それなら自分でも相談に乗れそうだ。
そう言う事なら手っ取り早く本人に聞くのが確実だが。
「俺が探ってきてあげようか?」
提案にも幸村は首を横に振る。
どうやら幸村も聞いた事はあるらしい。
しかし返ってきた答えは特になし、だ。
「気持ちだけで嬉しいと言われてしまい申した・・・」
佐助は元々物欲が薄いのでその答えも納得のいく所ではある。
しかしだからと言って何でもいいと言う訳でもないらしく、拘りもあるのか特定の物以外は手にも取らない。
そうして使わない物は贈り物でも即座に捨てる。
或いは譲る、売る。
彼は校内外でも人気がある為女性からよくプレゼントを貰っているが、その中で佐助の目にかなうものはほんの一握りで、残りはそんな風に処理されるのだそうだ。
そう言った贈り物の末路を見てきた幸村だからこその悩みなのだろうなと話を聞いた慶次は思う。
しかし同時に多分これは無用の悩みだろうな、とも。
何故なら――
「幸村があげた物も捨てられた事はあるのかい?」
尋ねると、幸村はパチリと目を瞬かせた。
そして首を振る。
勿論横に。
「ありませぬ・・・」
前髪が邪魔だと言うのであげたバンダナも、取材で使う時にとあげたペンも、佐助は今も使ってくれている。
慶次は以前に佐助のファンの女の子が彼に実用的な物の方が使って貰えるかもと同じ様にペンをあげていたのを見た事があるが、佐助は一応それを受け取りはしたものの使った所はその後一度も見た事がない。
つまりはそう言う事なのだ。
「佐助にとって重要なのは貰える物じゃなくて、誰からって所なんじゃないかな?」
幸村がくれる物なら何でも喜んでくれるよと背中を叩けば幸村が漸く笑顔を見せてくれたので。
慶次は良かった相談に乗った甲斐があったと安堵をしたのだった。
――が。
調子に乗ってつい余計な一言を。
「幸村が首にリボン巻いて俺がプレゼントだ~とか言うのが一番喜ぶかもだけどね~なん・・・て・・・」
慶次は冗談のつもりだった。
しかし世の中には冗談が通じない人がいる事を忘れていた。
そして幸村がそれに当てはまる人種である事も。
破廉恥と飛んで来ると思っていた拳は来ず、真剣な顔で彼は何やら考え込んでいる。
「ゆ、幸村・・・?今のは冗談だったんだけど・・・」
声をかけても反応がない。
どうやら聞こえていないらしい。
願わくば彼が考え込んでいる内容が佐助へのプレゼントの事であり、己の冗談なんかじゃありません様にと慶次は窓の外を眺めてただひたすらに祈ったのだった。
そして後日、慶次は幸村のいない時に佐助から呼び出され、あの人に変な事吹き込まないでくれると襟を掴まれ睨まれた。
「まぁ、旦那の相談に乗ってくれた事にはお礼を言っておくけどさ」
しかし本気の怒りではなかったのだろう。
直ぐに放してくれたので慶次は気になっていた事を聞いてみたのだが。
「え、結局幸村のプレゼントって・・・」
何だったのと。
よもや本当に最後のあれをやったのではあるまいか。
しかしその問いに佐助はニヤリと笑うだけで明確な答えを返してはくれず。
ただ、廊下にいた二人を見付けた幸村が。
「佐助!」
走って来ると躊躇いもなくその体を抱き止め見せつけるかの様に此方を見て笑うので。
その自慢気な顔に慶次は思わず頬を引きつらせたのであった。
そんな慶次に幸村の後ろを歩いて来ていた政宗が言う。
「だから言わんこっちゃねぇ。あいつら二人には関わらねぇのが最適なんだよ」
幸村の笑顔は嬉しかったが佐助のドヤ顔を見ると政宗の言葉は正しかったと慶次は肩を落としたのだった。
幸村を抱き締める佐助の腕には二本の新しい色違いのチョーカーが輝く。
それを見た幸村が嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべた事は誰も知らない。
終
結局プレゼントはどちらだったのか・・・
【お題:だから言わんこっちゃない!】
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プロフィール
HN:
早和
性別:
非公開
自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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