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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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七夕の佐幸です。
支部に上げて此方にうpするのを忘れてしまっていたので1日遅れです(汗)

ネタに雨が絡むので西日本が大変なのに上げるのはちょっとあれかなとも思ったんですがこれはあくまで物語ですと言う事でお願いします。










・佐幸
・現代
・何でも許せる方向け










【鵲橋の渡す瀬を】







地元で開催される七夕祭り。
中学までの佐助は全く興味が無かったが、高校で幸村と知り合い親しくなってからは祭好きの幸村と毎年一緒に行く様になった。
屋台のものを片っ端から食べた一度目、共に並んで花火を見た二度目。
そして三度目の夏。
今年は特に、高校最後である事に加えて冬に恋仲となった幸村と恋人として行くのは初めての祭りであった為、佐助も柄にもなく密かに気合いを入れていた。

筈が。

当日を迎えて見れば天気は大荒れ。
雨風が凄まじく川も氾濫の恐れがあると橋の周囲は通行止めまで敷かれていた。
一人暮らしの佐助のアパートと実家暮らし幸村の家は丁度川を挟んで対角線だ。
祭りのある神社は幸村の家側。
橋まで一応向かってはみたのだが川は今にも溢れ出しそうで通る事は難しそうであった。
これでは祭りに行けない。
否、祭は佐助自身は別に行けずとも良いのだけれど。

「これじゃ旦那と会えないじゃん

佐助にとってはそちらが死活問題だった。

マジかよと思わず頭を抱える。
川を挟んで逢瀬だなんてまるで織姫と彦星みたいだと受かれていた分どん底に叩き落とされた気分だ。
あぁ、もうとその場に思わずしゃがみこんでいると、本来の待ち合わせの時間に幸村から電話がきた。

「何やら凄い天気だな。これでは祭りも中止であろう・・・残念だが」
「流石の鵲もこの雨じゃねぇ」

幸村に当たるのは本末転倒にしかならないのだが。
余りの落胆にどうしようもなく、佐助が投げやり気味に返すとそれに気付きもしなかったのか幸村が不思議そうに会話を続ける。

「かささぎ
「あ、知らない織姫と彦星が七夕に会えるのは、鵲が天の川に橋を掛けるからだって。この大雨じゃ二人も会えないだろうね」
「そうなのか。しかし橋が駄目ならば泳げばいいのではないか
「それは体育会系過ぎるでしょ」

旦那じゃないんだからと思わず笑うと幸村も確かにと言って笑う。
それにほんの少しだけ気持ちが上向いた気がしたが。

「時に佐助、俺の携帯は防水だっただろうか

突然変わった話題に佐助は呆気に取られて一瞬返す言葉を失った。

「ええーと・・・うん、旦那が使い方が分からないと嫌だって言うから、教えられる様に俺様のと同じ機種買ったし・・・同じ防水の筈だけど・・・」

戸惑いながら何とか返せば。



「「それは良かった」」



それがどうかしたかと問うより先、声が二重に聞こえ佐助は咄嗟に顔を上げる。
嘘だ。
何故。
幻か
そこには橋の向こう岸にいる筈の幸村がいて、びしょ濡れで張り付く髪を鬱陶しげにかき上げた彼はいつもの笑顔で立っていた。

「うえぇ!?ちょ、な、何で!?ほんとに泳いできたの!?

佐助が立ち上がり川と幸村を交互に見ながら問い詰めると幸村は流石にそれはせぬわと言ってまた笑う。

「立ち入り禁止の警告も破る訳にはいかぬしな」

それがなかったらあの濁流を泳ぐつもりだったのかと言う突っ込みは取り敢えずおいておき。
ではどのようにして此方側に来たと言うのかと問えば幸村は得意気に答えてくれた。
曰く、上流側の二つ隣の駅には川を跨ぐ大きな陸橋がかかっており、そこはまだ規制もなく通れると聞いたので態々そこまで行ったのだそうだ。
当然歩いて。
寧ろ走って。
傘は強風に煽られ意味を成さず壊れたから途中のコンビニのごみ箱に捨ててきたと言う彼の頬はこの夜にびしょ濡れだと言うのに血色もよく仄かに赤らんでいた。

「まあ、会いに来たところで祭りには行けぬのだが」

会いたかったからなとそんな赤い頬を掻いて笑う姿が愛しくて堪らず。
佐助は傘を投げ捨て駆け寄ると、己も雨に濡れながら幸村の体を掻き抱いた。











「もう今夜は帰さないからね
「そうだな流石にこの時間にあの距離をもう一度歩くのは補導もされかねんしな。泊めて貰えると助かるぞ」
「そうじゃない


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プロフィール
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早和
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自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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