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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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上田の桜、今年も諦める事となりました・・・(´・ω・`)
コロナもあれだし仕事が忙しすぎるのも重なり無念ですが来年に持ち越しです。
来年こそ行くぞー!!



SSはツイッタでお世話になっているあさぎ先生への誕生日の贈り物です。
リクエストで「旦那大事過ぎて幸村が成人するまでセッセしないと決めてる佐助の話」でした。










・佐幸
・現代転生
・雰囲気微破廉恥

※何でも許せる方向け










永遠なんてない事を、幸村は知っていた。
だから少しでも確証が欲しかった
彼を繋ぎ留めておく確かなものが。





【青少年ラグナロク】


幸村の恋人は年上の幼馴染みだ。
それも少々特殊なもので。
前世の戦国時代に忍として生涯仕え続けてくれた、己の半身の様な人だった。
主と忍。
前世では身分の差があったからお互い想い合いながらも結ばれる事はなかったけれど。
今生ではもう身分と言う壁はない。
思えば気持ちを告げずにはいられなくて、自覚と同時に告白をした。

また、言わずにいられなかった理由はそれだけではない。
奇しくも前世と同じ年の差で生まれた二人。
身分の差がなくなっても変わらず残った年齢差は、何の因果か昔よりも大きな意味合いを持つようになってしまった。
年が違えば日中過ごす空間が強制的に変わってしまう現代では、彼の周りには同じ年代の者達が集い同じ時間を過ごしていて。
となればそこで新たな関係が生まれる事も当然有り得る事である。
自分の知らない所で知らぬ輩に佐助を奪われてなるものかと。
思えば憤懣遣る方なく。
そんな理由で幸村は佐助に急ぎ告白をしたのだった。



そうして無事恋仲となり佐助は自分の物なのだと約束を取り付けた幸村であったが、喜び安堵したのも束の間。
その後も佐助の態度が全く変わらず再び不安を募らせる事となった。
撫でる手や繋ぐ指に優しさや愛情は確かにあるが、それは子供を慈しむ様なものに近く。
恋仲の甘さとは程遠い。
そして触れれば直ぐに離れる。
幸村がそこから一歩踏み込もうとすれば寧ろ距離を取る気配すらあった。

これは何だと不審に思い、詰め寄り問い質してみればそこで幸村は衝撃の宣言を受ける事となる。
曰く、幸村が大人となるまでは恋仲らしい触れ合いをするつもりはないのだと。
佐助はきっぱりとそう言い切った。
何故と理由を聞いてもただけじめだとしか言わない佐助の答えは当然幸村としては納得できるものではない。
当時幸村は十五歳。
成人までとなれば五年も恋人らしい振る舞いを禁止された事となってしまう。
互いに想い合い、気持ちを通わせてまでいると言うのに。
これでは告白したにも関わらず、前世よりも後退しているではないか。
何とか佐助の意見を変えさせ恋人らしい事がしたい。
以降幸村の奮闘の日々は続いている。

そして今日も。





「何故駄目なのだ!」

室内に幸村の叫びが響き渡る。
その声は不満気と言うよりも、最早怒気すら含んでいて。
更には涙混じりですらあった。
しかしそれも致仕方ない事だろう。
何しろこんなやり取りを続けてもう三年にもなるのだから。
最初は抱き付いたり頭を擦り寄せたりとささやかな行動しかとれなかった幸村も、今や佐助を押し倒すことまで出来るようになっている。
歳月とは偉大である。
それ程必死だったと言う事でもあるのだが。

今もそうだ。
バレンタインから十日余り。
来月のホワイトデーのお返しに何が欲しいかと佐助に問われた幸村は、ならばと口付けを強請った。
しかしそれはまだ駄目だとやんわりと距離を取られてしまう。
ホワイトデーに、それも口づけくらいと苛立った末が今の状況。
二人で暮らす部屋のリビングのラグの上に押し倒し、幸村はその腹の上に乗り上げ佐助を見下ろしていた。
馬乗りで胸倉を掴む様はどちらかと言えば喧嘩の様だが、今の幸村にはそんな事を気にしている余裕は欠片もない。
ただ佐助の行動に行き場のない感情が渦巻くだけだ。

それでも何とか佐助の真意を探ろうと、奥歯を噛み締め答えを待てば。

「三年我慢したじゃない」

あと少しだからとあっさり告げる佐助に只管に遣る瀬無さが募った。
確かに半分以上は過ぎたけれど、あと二年近くもこんな思いを続けろと彼は言うのだろうか。

「ならばせめてちゃんとした理由を言え!」

言うまで今日はここから退かぬと掴んでいた胸倉を引き寄せ睨めば、幸村の決意を察したのか佐助は暫し躊躇った後に漸くぽつぽつと語り出す。

「旦那はまだ成長途中でしょ?学生の間は色々見るものも学ぶものもあるからさ…だから俺様が独占するのはよくない事だなと思ったの」

だから大人になるまでは。
それが佐助の考えらしい。

それはある意味正しい大人の意見だろう。
けれどそれでは幸村にとっては意味がない。
幸村は佐助を独占したくて告白をしたのだ。
自分だけを特別に見て、特別に接してほしいから。
なのにこれでは本末転倒もいい所だ。

それが伝わっていないのか。
否、佐助が分からない訳がない。
佐助が幸村の気持ちを間違って理解する筈がないと、幸村はそう確信していた。
ならばと行き着くのは余り考えたくない結論だ。
幸村の想いを理解して尚、正しい理論を通そうとする佐助の意図は。
単純に嫌なのではないか、と。
恋仲になりたくない。
幸村とそう言う関係になる事を本当は望んでいないのではないか。
浮かぶのはそんな考えだった。

彼は昔の情や繋がりから幸村の告白を断れず、時間を置けば気が変わると思っているのではないか。
幸村は思い俯く。
目頭が熱くなり、咄嗟に瞼を閉じて唇を噛めば、その目尻に溜まった涙を見つけた佐助が驚き上半身を起き上がらせる。

「旦那!?」

慌てて指先で涙をそっと拭ってくれる。
その指は優しいけれど、幸村が真に望むものではなかった。

「嫌なら…言え…」
「え?」
「もう主従ではないのだ…俺の願いを断っても誰も咎める者はおらぬ…」

勿論それは幸村もだ。
告白を断ってもそれを咎めるつもりはない。

「違うよ!何でそうなるの!?」
「そうとしか考えられぬではないか!」

幸村の言葉を佐助は即座に否定した。
しかし幸村も負けじと言い返す。
実際佐助の言動は一度至ればそうとしか思えないものだったから。
すると幸村の言葉が余程意外だったのか佐助の腕がやや乱暴に幸村の体を抱き寄せた。
離れようとしても背に回された手は強く幸村を掴んで離さない。
今までとは違うその力強さは、しかし幸村の望んでいたもので。
安堵に肩の力が抜けた。

「不安にさせてごめん。でも、俺様もちゃんとあんたが好きだから…断れなんて言わないでよ…」

今までと違うその必死さが嬉しい。
肩口に頭を乗せたままこくりと小さく頷けば、佐助もまた拘束する力を僅かに緩め、そのまま思いを語り始めた。
己の我儘に付き合わせてしまうのは申し訳ない。
だが、自分も歯を食い縛る思いで必死に我慢しているのだと。

「…真か?とてもそうとは見えぬのだが…」
「真ですよ。俺様が取り繕うの得意なの知ってるでしょ?」

確かに佐助は昔から演技が上手かった。
忍として苦しい事も辛い事もいつも幸村には見せなかった。
それと今が同じであるなら佐助の気持ちに否やはないが。
だとすれば分からないのは何故そんな我慢をしようとするかである。

「と言うか、俺様としてはあんたがそんなに熱心に誘ってくれるのが意外だったんだけど。こう言うの苦手だったでしょ?」

てか今も苦手でしょうと断言されて言葉に詰まる。
相変わらず女子と接する事が苦手で、年頃にも関わらずそう言った本も一冊も持たず、テレビで些細な濡れ場が流れるだけで走ってくると外に飛び出す幸村の行動は同棲している佐助には当然知られてしまっている。

確かに幸村は今も色恋沙汰は得意ではない。
それでも恥ずかしい気持ちを押して尚佐助との関係を望むのは偏に彼への想い故だ。
佐助を手放したくない。
自分のものにしたい。
その確かなものが欲しいと。
永遠なんてものはない事は幸村とて知っているが、ならばそれに近しい繋がりがほしかった。
主従の繋がりがない今、己が彼を縛り付ける術はない。
失わない何かが欲しかったのだ。

「うーん…」

たどたどしくもそんな己の思いを口にすると、佐助は何か考え込む様な素振りを見せた。

「待ってる理由の一つがそれでもあるけど…旦那が欲しいのは“約束”なんじゃないかと思うんだよね」

そうして例えばと一つ尋ねて来る。
例えばもし自分達が結婚出来たら、こんなに不安にはならなかったのではないかと。
考える。
どうだろうか。
そうかも知れない。
結婚と言う言葉が余りぴんと来ない為一概には言えないが、確かに今の漠然とした不安は幾らかだが消えそうな気はした。

「俺様のはそんな綺麗なものじゃない」

告げた佐助が人差し指で幸村の胸元を軽く突く。
いつの間にか佐助の顔が間近まで迫っており、そのまま指先で押され後ろに倒れる。
押し倒していた筈の体制は気付けば逆転してしまっていた。

そうして幸村を見下ろし佐助は言う。
己の衝動。
約束したら安心して終わりじゃない。
それを使って縛り付けて雁字搦めにして離れようとしても引き戻して離さない。

「もう主従じゃないんだ。遠慮なんてしないぜ?」

凄んで笑う。
見た事のない顔に言葉が出ない。

「それに、あんたの求めてる繋がりは気持ち的な部分が大きいんだろうけど、恋人としてって事はセックスするんだって、旦那ちゃんとわかってる?」

突然のリアルな言葉に幸村の頬に熱が上がる。
セックス。
閨事。
まぐわい。
言い換えても生々しいが幸村が佐助に迫っていたのはつまりはそう言うものである。

全身舐めて、吸って、咬んで。
体の外も、中も触れてない所なんてなくして。
もうやだって泣いてぐしゃぐしゃになるまで溶かして、吐き出す体液も全部飲んで。
佐助に更に生々しい言葉で示される行為に熱で頭がぐらぐらと揺れた。
それでも佐助は許してくれず。

「ここに…」

指先を下ろし、幸村の下腹を指先で差す。

「俺様のを埋めて、奥までいっぱいにして注いで、溢れるくらいにさ…」

満たしたいのだと。
指し示す指先は触れているだけなのに貫かれたかのように動けない。
涙を拭ってくれたそれとは同じ指先なのにまるで違うものに思えた。

「それをさ、成長途中のあんたにぶつけるのは憚られたの」

況してや学生は勉強も部活もある。
当時十五歳の幸村はまだ体も出来ていない。
つ、と指先を上に辿る。
臍から徐々に上へ、と。

「奥まで挿れたら、あの頃の旦那なら此処くらいまで届いちゃいそうだよね」

くっと押されて下腹と頭に熱が一気に膨れ上がる。
口をはくはく開閉させるも混乱して言葉は出てこなかった。

するといっぱいいっぱいの幸村に気付いたのか佐助はすっと指を離す。
それと同時に体も引く。
そこからはいつもの佐助と同じだ。
だから大人になるまではねと笑う。
言われても今はもう無言で頷くしか出来なかった。

のだが。

「でも、それももうあと一月ちょっとだから…待ち遠しいよねぇ…」
「…え?」

深い息と共に吐き出された佐助の言葉に幸村は思わず聞き返した。
あと一月?
二年弱はある筈では?

ここで佐助は二人の考えの違いに気づいたらしい。

「あれ?旦那、もしかして成人までと思ってた?」

大人と言えば成人の二十歳と幸村は当然のように思っていた。
しかし佐助は違うらしい。
一月ちょっとと言う事は、佐助の大人は恐らく高校卒業までと言う事だろう。

確かに十八ならば男性も結婚出来る年ではある。
今はもう二月の末。
卒業までは間もなくだ。

「楽しみだねぇ…旦那…?」

にんまりと口端を上げる佐助は、なのに目の奥は鋭く光り笑っていない様に見えた。
背筋にぞくりと何かが走る。
さんざ望んでいた筈なのに、思いがけず飛び越え目の前に迫った約束の日に幸村はおろおろと視線を彷徨わせる。

「さんざ煽ってくれたしさ。待たせた分も沢山してあげるからね」

待っててねと。
その声がひどく優しく響いて、幸村は立ち上がれもせずにその場にへなへなと崩れ落ちたのだった。
















お題:「永遠なんてない」で始まり「その声がひどく優しく響いた」で終わる物語。



ツイッタでお世話になっているあさぎ先生の誕生日に。
リクエストは「旦那大事すぎて幸村が成人するまでセッセしないと決めてる佐助」でした。
あさぎ先生、お誕生日おめでとうございました!
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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