愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
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これまで140字はずっと同じ3つのメーカーさんからお題を選んでいたんですが、最近ちょっと別のメーカーさんも見るようになりました。
そうしたら結構楽し気な物がいっぱいあって・・・
その中の一つで創作意欲がぐわっと沸いたもののどうしても140字に纏まらず・・・
ならいっそ普通に書いてしまえ!となったのが此方です。
佐幸ですが旦那が強くて佐助さんが若干へたれてるので逆っぽく見えてしまうかも?
あと微グロっぽい雰囲気もあるので注意です。
・佐幸
・戦国
※一部微グロ
※若干逆っぽく見えなくもない
※幸モブ女っぽい雰囲気もあり
【佐幸】手折リテ君想フ
夢を見た。
最悪の夢見だと佐助は頭を乱暴に掻き深い溜め息を吐く。
忍の休みは短い。
効率良く休まなければならないと言うのに、これでは寧ろ疲労感が増した気さえする。
その夢には幸村がいた。
それ自体は珍しい事ではない。
そもそも夢を見る事が少ない佐助であるが、稀に見るそれに幸村が出てくる頻度はかなり高い。
まああれだけ長い時間共にいれば当然か。
幸村もよく佐助の夢を見たと報告してくるし。
佐助の場合その夢が人に言えない類いのものである事も多いのだがそれも致し方ない。
佐助は幸村に所謂懸想と言うものをしているので。
そしてそれは幸村も同じらしく、隠れてそう言う関係を結んでいるとなれば自然とそんな夢も増えよう。
しかし今日の夢は常とは少し違っていた。
幸村が閨にいるのは同じ。
しかし己はそこにはおらず、外から零れる灯りを眺めていた。
そして少しすると中から幸村が出てきたのだが。
彼は寝間着の白衣のまま、同じく半襦袢と白衣のみを身に付けた女の手を引いていたのだ。
ああ、最悪だ。
幸村が女を抱いて、その光景を夢見るだなんて。
否、それはただの夢ではない。
もうすぐ現実になる予知夢の様なものだ。
幸村は今閨にいる。
正しく女と共に。
幸村が余りに晩生である事を心配した家臣達が彼に筆下ろしをさせようと今宵女を呼びつけたのだ。
聞いた当初幸村は当然拒否をした。
俺は想わぬ相手とその様な事をするつもりはないと、佐助に断る様にと即答で命じた。
しかし予め家臣達からその旨を聞かされていた佐助は表立って反対など出来る訳もなく。
まあ試しに顔を見るだけでも、等と言って幸村を宥めた。
己としては家臣達の心配を無下にも出来ない為、顔だけ見て断ればくらいの思いであったのだが。
その言葉は思いの外幸村の心を傷付けたらしい。
お前がその様な事を言うのかと涙混じりに言われてしまった。
そこで直ぐに否定すればいい事は解っていた。
しかし自分達の関係は本来許されるものではないのだと言う思いが佐助を躊躇わせた。
結果幸村はもういいと佐助に背を向け、女に会う事を了承した。
それが二刻程前の出来事だ。
そんな後味の悪い喧嘩別れの後だからだろう。
あの様な酷い夢を見たのは。
そしてこれから己は幸村の警護に当たらねばならない。
つまり夢の中の情景を目の当たりにしなければならないのだ。
何処かで甘えていたのかも知れない。
幸村は己との事がなくともあの性格だ。
きっと断るのだろうと。
しかし幸村は受け入れた。
女と顔を合わせた後、夜に寝所を訪れる事を彼女に許したのだ。
その衝撃たるや。
足元が一気に崩れる思いがした。
その後自分がどうしたか。
幸村に、喜ぶ家臣達に、何を言い何をしてどの様に忍屋敷まで戻ったか。
佐助は全く記憶になかった。
取り敢えず夜番の交代まで身を休めるべく仮眠を取っていたらしいが。
結果があの夢だ。
全く馬鹿だ。
こんなに酷い気持ちになるなら最初から自分も嫌だと言っておけば良かった。
そうすれば徒に幸村を傷付ける事も無かったのに。
重い足を引きずり幸村の部屋へ向かう。
どんなに気持ちが重くとも仕事に穴を空ける様な事があってはならない。
そこは佐助の最後の砦だ。
木々の合間を跳び、佐助が漸く庭に出て先に居た忍と見張りを交代すると、丁度部屋の障子戸が開き中から幸村の姿が見える。
あぁ、嫌だなと思う。
本当に外から見るこの状況も、白衣の幸村の姿も全くあの夢の通りだ。
そして手には女の白い手を握っている所まで――
「佐助」
思わず目を逸らしかけるとその前に名を呼ばれた。
いる事を知っていたかの様に迷いはなかった。
そして幸村は佐助に向かって手にしていた物を投げて寄越した。
目の前に落ちたのは、先ほど幸村が握っていた女の手。
「離れぬので切った。身体は中にある故片付けておけ」
切ったと言う幸村の言葉の通り、庭に落ちたのは肘から上の腕だけであった。
何でと呆然としている佐助の目に信じられない物が映る。
その白く細い指先に数え切れないほどの肉刺。
しかもそれの出来た場所が悉く、苦無などの忍道具を持つ時に当たる場所である事に気づいた佐助は愕然とした。
つまり、この女は忍だったのだ。
それも恐らく、幸村の命を狙って入り込んだ。
女を選ぶのは全て家臣達に任せていた。
佐助も一度相談されたが、想う人に抱かれる女を選ぶなど快く出来る筈もなく。
だから断り一切関わろうとしなかったのだ。
その結果がこれだ。
よもや閨にまで侵入を許す事になるなんて。
「珍しいな。お前が、この様な失態」
呆然とする佐助に幸村が少し笑い混じりに告げる。
全く持ってその通りだ。
返す言葉もない。
己の感情に流されて警戒を怠るなど。
忍長失格だ。
「面目ねぇ・・・」
申し開きのしようもない。
どんな罰でも受ける覚悟で頭を下げるが幸村はそんな事は欠片も念頭にないようで。
それよりも嘲るような、しかし何処か泣き出しそうな、そんな表情で佐助を見降ろした。
そして言う。
「そんなに動揺したか?俺が女を抱くと言った事・・・」
「・・・っ」
言葉を失う佐助に幸村は、裸足のまま庭へと下り立ち佐助の胸ぐらを掴んで一喝する。
「そんな仕事も手に付かなくなる程思い悩むぐらいなら最初から嫌だと言わぬか、馬鹿者が!」
怒りに震えながらもその瞳の奥に確かに傷ついた色を見つけた佐助は申し訳ないやら愛しいやらで何だかもう堪らなくなってしまって。
「うん、ごめん・・・」
己の装束を掴む幸村の手を両手で包み、そっと引き寄せ近づいたその唇に口付けた。
終
幸村は気付いてたから尻尾を出させる為に女を閨に呼び寄せたと言う真相。
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プロフィール
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早和
性別:
非公開
自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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