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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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は、半年ぶりですスミマセン!(汗)
140字にかまけて長い文がほったらかしってどういう事なの自分・・・
でもこれで仔猫シリーズは何とか完結です。
有難うございました!










・佐幸
・現代
・お題





 【仔猫のワルツ5】








陽の光の降り注ぐ窓際で、幸村がすやすやと眠っている。
その様子を見ながら佐助はお茶を淹れ、お茶請けの菓子を作りながら幸せだなぁと一人噛み締め法悦に浸る。
幸村と出会ってから三か月。
当時はその原因となった出来事を散々だと思っていたけれど。
怪我の功名と言うべきか。
今となっては良かったかも知れない。
佐助は焼き立てのマフィンをオーブンから取り出し、皿に乗せてリビングへ運びながら、匂いにつられて眠りの淵から戻り唸る幸村に笑いながらそんな事を思った。





幸村と佐助が出会ったのは、相手の勘違いを発端に佐助が暴走族とトラブルを起こしたのがきっかけであった。
多勢に無勢で大怪我を負い、道端で死にかけていた所を幸村が拾ってくれたのだ。
今では全て解決し、幸村も含め彼らとは仲良くやっているけれど。
今思えばよく助けたなと思う。
幸村は武術を習っているとは言え極々普通の一般人だ。
普通暴走族と関わりを持ちたいなんて思わないだろう。
死にかけを見つけたにしろ、精々警察に通報がいいところだ。
それがとても不思議で、佐助は一度理由を聞いてみた事があるのだが。
そうした所、返って来た答えは予想外のもので。
佐助が捨て猫みたいで放っておけなかったのだと幸村は言った。
何とも不思議な言い分だ。
しかし幸村だと何となくそんな発言も納得出来てしまう気もする。
ともあれそんなきっかけで二人は出会ったのである。
しかし、そんな風に思われた事が切っ掛けだったからか、匿われてる間も幸村よく自分を猫に例えていた。
まだ慣れない時、と言うか佐助が距離を取ってた時は、幸村は“小動物の飼い方”なんて本を持ち出して距離を縮めようとしていた事もある。
あれには思わず笑ってしまった。
仔猫だの小動物だの、そんなものに自分を例えるなんて。
幸村は相当変わっているなと思ったものだ。
まぁ、そのずれっぷりがまた可愛いのだけれど。

そう、可愛い。
佐助に言わせれば自分などより幸村の方が余程子猫の様なものだった。
今、日向で丸くなって寝てる姿など将にそれだ。
全てが解決した後に、それでも一緒に居たいと二人で暮らし続けると決めてから、佐助は幸村を自分の家に引っ越させた。
慣れてはいたが、やはり二人でずっと暮らしていくには幸村のアパートは少々手狭であったし、防犯面が心配だったと言う事もある。
そうして家賃は佐助持ち。
食費は折半になり――佐助はいらないと言ったのだが幸村がそこは譲らなかった――楽になった分、佐助は幸村に夕方のバイトを減らさせたのだが。
以降、家にいる暇な時は幸村は窓辺で眠るようになった。
身体痛めない様にと一時人をダメにすると噂になった大きなクッションを買ってそこに置いた事も幸村の昼寝に拍車をかけたのかも知れない。
心地よさそうに眠る顔。
喉でも鳴らしだしそうだ。

そうでない所でも似ている所は幾つかある。
例えば可愛い外見に反して以外とパンチが鋭い所。
喧嘩が強いのは知っていたのである程度予想はしていたが、先日やはり昼寝をしていた幸村を起こす時に軽く頬にキスをしたら照れた幸村にきつい一発を食らった。
将に猫パンチと言えるだろう。

他にも、意外と素直ではない所がある事もそう。
幸村は寂しがりやなくせにそれを言おうとしないのだ。
大変な時でも強がって見せたりする。
詳しい事情は聞いてないが彼は家庭の事情が色々と複雑らしく、学生ながら自立しようとしていた。
だからだろうか。
余り人に頼ろうとしないと言うか、自分を追い込む所があるのだ。
佐助が甘やかそうとしても素直には受け入れない。
しかし、それが最近では少し変わって来て。
平気なのに、とは言う。
けれど暫くすると身を任せてくれる。
甘えてくれる。
佐助以外にはそう言う姿を決して見せないので、人見知りな猫を手懐けた気分だ。





「旦那、おやつ出来たよ。お茶にしよう」

佐助は運んだマフィンを机に並べ、幸村を起こす。
無防備な顔にキスをしたかったけれど、殴られては困るので今は我慢だ。
そうしている内に幸村が目を覚ます。
目をグーの手で擦ってから大きく伸びするのは猫の仕草の様。
顔を洗っているのだろうか。
明日は雨かな、などと冗談を考えながら机に続けてティーセットを並べていると幸村がそれを見て目輝かせた。

「おお!凄いな!美味そうだ!」
「旦那が昨日食べたいって言ってたから。家にあったミックスで作ってみました」

これがベリーソース入り、これがレーズン、これがチョコチップ。
説明していくと、聞くのも漫ろに幸村が佐助を見る。
そして机に二つ並んだカップを見て尋ねる。

「お前も、今日は一緒に食べるのか?」

幸村は夕方のバイトを減らしたけれど、佐助の仕事はどちらかと言うと夜が多い。
その所為か最近は随分とすれ違う事が多かった。
出がけや作業中に挨拶など一言二言言葉をかわすぐらいはあったけれど、ゆっくり向い合って食事や話をする事はもうずっと無かったのだ。
それがきっと淋しかったのだろう。
今日は甘えたい日なのかな?
思って、今日は一日一緒だよと望む答えを返してやると、幸村は慌てたように視線をパッと下に向けて俯いてしまう。
けれどそれは落ち込んでいる訳でも怒っている訳でもなくて。
喜んでいるのを見せない様にしているだけなのだ。
佐助は苦笑する。
素直に喜んで甘えてくれればいいのに。
けれどそれが幸村には出来ないのだと分かっているから佐助が告げる。

「大丈夫、傍にいるよ」

いつでも近くに。
言うと幸村は鼻を鳴らして満足気に笑った。











拝借:さみしがりな君へ5のお題「いつでも近くにいるよ」(rewrite様
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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