愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
4/10は「主従の日」「嫉妬の日」「心中の日」!!
上記がテーマなのでちょっと薄暗いですご注意下さい。
・佐幸
・現代
【影追い心中】
己は欲が深いなと幸村は思う。
前世で主従として過ごした己の忍。
生まれ変わったら身分もなく、対等に、友としてまた共に在りたいと願った気持ちは嘘ではなかった筈なのに。
現世でその願いが叶ってみれば物足りなさを感じている。
否、物足りなさとは少し違う。
心もとなさ、或いは不安と言う方が正しいか。
昔、二人が主従であった時、佐助は全て幸村のものだった。
幸村が大阪へ赴くと決めた時も、そこが死地と知りながらも佐助はついてきてくれた。
更に幸村が先に死んだ後は、幸村の後を追ったらしい。
決して追い腹を願った訳ではなかったけれど。
幸村が現世で彼の最後を聞いた時、その命まで彼が己のものであった事実に幸村が感じたのは確かに歓喜と愉悦であった。
それと同時に今は違う事にも気付いてしまい、空虚と絶望が胸を突いた。
彼を思うままにしたい訳じゃない。
対等な関係は嬉しいと思う。
だが万が一にも佐助を誰かに奪われる事に己は耐えられそうもなかった。
だから佐助に相談してみた。
命まで、最期の時まで己のものにするにはどうしたらいいだろうかと。
聞いた佐助は一瞬呆けたような顔で固まり、それから何故か俯き顔を隠したまま小さく震えた。
怒ったのだろうか。
もう身分の差も無いのに命までをも己のものにしたいなどと分不相応な事を思ったから。
不安になり謝罪の言葉を述べれば佐助は突如顔を上げて慌てた様に否定した。
「あぁ、違う違う。嫌だなんて思ってないから」
そして問いに答えてくれる。
「対等な関係で相手を己のものにするって言うなら、やっぱり伴侶がそれじゃない?」
成程、確かに。
男女ではないので夫婦とは呼べないが伴侶は確かに幸村が望む関係に非常に近いと思われた。
しかし伴侶は命までも己のものと出来るのだろうか。
思い重ねて尋ねれば世には心中と言うものがあるらしい。
主従の追い腹ではなく共に死を迎える手段。
「但し、対等だから旦那の命も俺様のものって事になっちゃうけど…」
それでもいいのと戸惑い気な佐助に幸村は勿論だと強く頷く。
対等な関係なのだから己の命が佐助のものとなるのは寧ろ望むところである。
「じゃあ、今から伴侶って事で…いいの?」
本当にと繰り返し確認する佐助は態と怯えさせる様に幸村の首に手をやり両手で掴んでニヤリと笑う。
それにも臆さず頷けば。
押し倒され、絞める代わりにか首にそのまま口付けられ。
幸村は甘い拘束に身を竦め、己もお返しにと肩口へと噛みついた。
* * *
己は欲が深いなと佐助は思う。
前世で主従として過ごした己の主。
幸村の幸せを願ったのは本当だった。
だから転生し、主従から友達にと関係が変わり繋がりが薄れた事に安堵したのは確かであった筈なのに。
昔の己の幸村への執着は凄まじいものがあった。
忍の己が里の帰還命令を無視してまで死地へと赴く彼を追った。
死んだ時は武士でもないのに追い腹を切り。
彼がそれを望んでいないと知りながらだ。
幸村がいない世界を生きるなど、幸村以外の人間に使われ生きるなど己は耐えられそうもなかった。
そんな後追い自殺をする程の執着。
だからただの友人として直ぐに切る事が出来る程に関係が薄れた事は良かったと思っていた筈なのに。
幸村から甘い言葉を投げ掛けられて迷わず手を伸ばしてしまった。
幸村の己への渇望を知り感じたのは紛れもない歓喜と愉悦。
あまつさえ、自分が彼のものになるだけではなく今度は彼の命が自分のものになるなんて。
遠い過去、佐助は何度それを願った事か。
幸村を殺したい訳では勿論ない。
けれど、幸村の命を奪えるのは自分だけだと豪語していた男がいた。
伊達政宗。
幸村もまたそれを認めていて。
その事に佐助は何度嫉妬したか知れなかった。
それが今、平和な時代で彼らは殺し合う事はなく。
一方自分は彼の命をも手に入れた。
歓喜に湧く今この瞬間、共に死ぬ事が出来たらそれはどれ程幸福な事だろうと。
思い、佐助は触れた無防備な首を絞める代わりにその喉元に口付けた。
終
PR
この記事にコメントする
プロフィール
HN:
早和
性別:
非公開
自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
P R