愛嬌、愛らしさ、懸命
静かな思い
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BASARA4発売、おめでとうございますー!!
絶賛プレイ中です!!
楽しい!!
でも、難しいwww
・現代
・佐幸
・お題
【子猫のワルツ】
捨て犬猫も余り見かけなくなった昨今。
人間がゴミ捨て場にぼろぼろになって行き倒れる、なんて言うのはドラマや小説の中の話だけだと佐助は思っていた。
そんなの、そうそう現実に起こる訳が無いだろう、と。
正直高を括っていた。
しかし今、実際自分の身に現実として起こってみて初めて、自分の認識が甘かったと思わずにはいられない。
事実は小説より奇なりとは本当だな、と。
佐助はぼんやりとそんな事を考えていた。
(しかも、まさかこの俺様が行き倒れる方とはね・・・)
確かに佐助は、お金を稼ぐ手段として一般人とは少し違う事をしていた。
繁華街で色々な者やグループの情報屋のような仲介者のような。
色々、とは爆音で夜の街を駆け回るグループだったり、やの付く本職の者だったり。
詳しくは知らないが、何だか危なげなものを運んだりした事もあった。
しかし、あくまで佐助は第三者。
内情に深入りはしなかったし、何かあったとしても自分は勘も要領もいい上に逃げ足も速いから何とかなるだろうと思っていたのだが。
まさか仕事に全く関係ない、全く違う方面から、頭の女が佐助に惚れた、なんて事で因縁をふっかけられるとは。
(流石の俺様も思わなかったっての・・・)
いや、それも事実だったらまだ予兆のようなものを感じ取って回避する事が出来ただろう。
女に近づかないようにする、とか。
グループ自体と縁を切り近づかないようにする、とか。
しかし、それは全くの事実無根。
濡れ衣なのだ。
予兆などある筈が無く、寝耳に水のまま佐助は襲われる事となったのだった。
回避など出来よう筈もない。
恐らく人違いなのだろうと佐助は考えているが――その間違われた相手も実は予想がついている――、既に佐助だと思い込み結束を固めた者達には何を言っても無駄だった。
こう言う時の彼らの団結力は凄まじいものがある。
しかも、袖にされたという人物が頭だった事も運が悪かったとしか言いようがない。
一仲間の為に、と友人が数名程度であれば佐助は対処出来ただろう。
取り敢えず火の粉を払った上で、事実関係を調べて頭に報告すればいい。
勘も要領も良く逃げ足も速い佐助は、更に腕っぷしもそれなりに立つ。
両手の指の数程度の人数であれば一人で切り抜けられる。
しかし、それが頭だった為にグループ総出での報復と相成ってしまい。
一人対、それなりの規模の族数十名。
しかもそう言うグループだから当然足も持っている。
流石の佐助もそれだけの数を相手に一人で立ち回る事は不可能だった。
それでも俊足と身軽さと、それから情報屋として培った裏道を駆使して何とか距離を稼ぎ、追っ手を撒いて。
雨が降り始めたからか、今のところ捜索の手も鳴りを潜め当面の危機からは逃れることが出来たのだが。
さて、この後をどうしたものかと思うと佐助の気分は重くなる。
溜息が零れ出るのを止められない。
こうなってしまうともう、今の場所で仕事を続けるのは難しい。
かと言って新天地で一からやり直すのは時間もお金も必要だ。
家に多少の貯えはあるが、引っ越してしばらくの生活費と考えると微妙である。
そもそもこの状況で家に帰れるかどうかも甚だ疑問だ。
住所は教えていないが、件の頭とはそれなりに親しかった為に家の大方の場所は会話から知られてしまっている可能性が高い。
そしてそこはグループの縄張りなので、いつ割られてもおかしくないし、もう割られていて家前を張られている可能性だってある、
仮にまだ無事であっても、その辺りは流石にまだ探されているだろうから、家に帰る過程に見つかるかも知れない。
どう考えても厳しい状況だ。
まあ、それ以前に、この状態から果たしてそこまで動けるのかがまず問題なのだが。
身体はぼろぼろ。
体力は二駅以上を走って既に限界。
雨で体温も奪われて、真剣に生命の危機を感じる状態だ。
時期も冬とくれば、これはドラマはドラマでも刑事もので、翌朝凍死体が発見される、と言うようなケースでは無かろうかと乾いた笑いが零れた。
(恋愛ものの、美人のお姉さんに拾われて、ってのを期待してたんだけどなぁ・・・)
人生ままならないものだ、とのんきに考えながら、もうあきらめの境地で佐助が目を閉じて身体の力を抜くと。
ふいに瞼に影が落ちて、おや、と思う。
同時に顔に当たっていた冷たい雨も止んでいる事に不思議さを感じる。
まだ雨音は響いているのに。
流石に気になって目を開けると、ぼやけた視界に真っ赤な空が映る。
夕焼けだろうか。
こんな夜に?
否、違う。
赤いのは空ではなくて。
(・・・傘?)
差し出されて己の頭上でパタパタと雨音を響かせている鮮やかな赤色の傘と、それを持つ人影。
こちらを覗き込む瞳は大きく、佐助に向けられた分だけ傘の外に出て雨に濡れた髪はしっとりと顔に張り付き、前髪と長い後ろ髪からは僅かに水を滴らせている。
雨粒が離れた所の街灯を反射して光る様は綺麗でまるでドラマのワンシーンだ。
佐助が思い描いていたような光景が、そこには広がっていた。
但し、性別を覗いて。
「お主、このような所で何をしておる。この時分に斯様に雨に濡れておっては風邪をひくぞ。」
しかも、随分時代掛かった喋り方だ。
変わった子だなと佐助は思った。
こんな行き倒れの自分に話しかけて来る所も含めて。
「お兄さん、ちょっと怖い人達に追っかけられてボロボロにされちゃってんの。構わないでお家に帰んな。」
そんな少年――外見の年齢は、少年と青年の過渡期位に見える――に、佐助は手をヒラヒラと振って追い払う仕草をした。
まるでドラマのようなこの状況だが、現実はこんな得体の知れない厄介者を拾う者などいないと分かっている。
そこまで楽観視はしていない。
このまま知らない振りをして去っても彼は何の罪も無く、寧ろ気にしてくれただけ御の字と言うところだ。
あぁ、でも、傘くらい貸してってくれると助かるなぁ、なんて。
そんな図々しい事を考えていると、少年はふむ、と呟いて一人頷くと、傘を佐助の肩に掛けるようにして置く。
気持ちを察してくれたのだろうかと、佐助が思った。
その時。
グイ、と凄い力で腕が引かれ、ビリリと電撃のような痛みが走る。
「っ・・・!」
「ああ、スマン。肩も痛めておったのか。」
聞いてからにすればよかったなと続けた彼は、そのまま外見からは想像もつかない力強さで佐助の身体を肩に背負い、引き上げる。
先程置かれた傘が落ちそうになって咄嗟に空いた片手で持ち手を抑えた。
「そうだな、そうして持っていてくれ。いや、しかしこうも濡れておると、無くともそう変わりはしないか?」
先程から付いていけない佐助を置いて、少年は歩き始める。
一体何処へ向かおうとしているのか。
分からないが、足取りは確かだった。
「ちょ、ちょっ・・・!?何してんの!?」
ズルズルと引きずられながら数メートル進み、角を曲がろうかと言う頃になって漸く我に返った佐助は慌てる。
足を地に付けて、尚も歩き続けようとする彼を止めると何とか顔を離そうと立ち上がった。
近くで見てみればとんでもなく綺麗な顔に、何だか不必要にドギマギしてしまった所為だ。
男の子なのに。
「何って・・・恐ろしい人物に追われておるなら、外におっては見つかってしまうであろう?それに、先程も言うたがこのような時分に濡れて一晩過ごせば風邪をひく。」
怪我の手当てもせねばなるまいしな、と当然のように言う彼は、どうやら自分の家に連れて行くつもりらしい。
独断で決められると言う事は一人暮らしなのだろうか。
家族がいればそうはしないだろう。
何だかちょっと意外な感じがする。
・・・って、そうではなく。
「いやいや、有り得ないでしょ、こんな展開・・・得体の知れない輩をホントにお持ち帰りとか、どんだけ危機感無いのよこの子・・・いや、男の子だけど、でも可愛いけど・・・」
信じられずに独り言を延々呟く佐助を、胡乱気な少年が一括する。
「何をぶつぶつ言っておる。歩けるなら少しは協力せぬか!」
「あ、はい、すみません・・・」
本当にドラマな展開に呆然としながらも佐助は少年に支えられながら歩き出す。
これは自分が都合よく見ている夢なのではないかと疑いながらも触れた背や握る手の暖かさが心地良くて、佐助はそっと目を閉じた。
そうして。
性別的にはヒロインではなかったが、二人が本当にドラマのようにこのまま恋仲となるのはもう少し先の話で。
更に、何故あの時自分を拾ったのかと問いかけた所。
「雨に濡れた猫のように見えた故な。放っておけなんだ」
そんな少女漫画の男キャラのような事を真顔で言い。
佐助が、もしかして俺様の方がヒロイン役?と頭を悩ませるのももう少し先の話となるのだった。
終
裏設定として、「頭=元親」「彼女=鶴姫」(※別にデキてないけど周りは彼女だと思ってる)、と言うのがあります。
拝借:さみしがりな君へ5のお題「夜露に濡れた仔猫」(rewrite様)
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プロフィール
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早和
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非公開
自己紹介:
戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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