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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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明日はいよいよ4発売日ですね!!

・・・・・・。
うわぁぁああん!!
明日が一年で二番目に忙しい日だなんてぇぇええ!!





・現代
・佐幸+α(元親視点)
 
 
 
 






【お好みでどうぞ】


 
 





退屈な授業を終え、開放感に溢れる放課後。
長曾我部元親は、とある有名コーヒーチェーン店を訪れていた。
連れは四人。
高校で出会った者達で、伊達政宗と真田幸村と猿飛佐助――この三人は高校以前からの付き合いで、更に幸村と佐助は幼馴染らしい――、そして前田慶次のメンバーだ。
男ばかりでコーヒーショップと言うのも少々場違いな感があるが、幸村がこの店の新作メニューを飲みたいと言うのだから仕方ない。
佐助は幸村に基本的に反対しないし、自分を含む他三人もそれ程周りの目を気にするタイプでもない。
佐助は嫌なら二人で行くからいいと言ったが、偶にはいいかと誰かが言い、男五人での来店と相成った訳だ。

夕方と言う時間帯もあり店内はそれなりに込んでいた為、其々注文だけ済ませると、カウンターで待つ組と責を吐く歩する組に分かれる事となった。
元親は席取り組の方になったのだが、二人席を三つ並べて六人席にし、その一つに座った時点で自分もカウンター組になれば良かったと直ぐ様後悔する事となる。
何故なら。
残りのメンバーである佐助と慶次。
この二人が微妙に険悪な空気になっているからだった。
その原因となっているのは慶次の方だ。
慶次は今日の学校での出来事で佐助に物申したい事があるらしく、先程から説教のような愚痴を延々一人続けている。
いつもの佐助ならば適当に流していたのだろうが、今ばかりはタイミングが悪かった。
本人に頼まれたから仕方なかったとは言え、カウンター組の幸村と分かれてしまったのが不満らしく、機嫌が宜しくないのだ。
辟易した様子を隠しもせずに、まるきり他所を向いてしまっている。
しかし、そんな佐助の様子を気にもせずに、慶次は訴える。

「だからさぁ、貰うぐらいはしてもいいと思うよ?」

慶次が不満を持っているのは今日の学校での出来事。
名も知らぬ女の事のやり取りについてのようであった。

何処のクラスかは知らないが、今日は学校で調理実習が行われたらしく、様々な所で作ったお菓子のやり取りが行われていた。
バレンタインが近いうえに、そのお菓子がチョコレートブラウニーだった事から期待する者も多かったのだろう。
校内はどこか浮ついたような空気に塗れていた。
そんな中、佐助にもそれを渡しにやって来た子がいた。
特別親しい訳でもない相手に、特別なラッピングをしたお菓子。
誰が見てもその意図は明らかで。
皆が羨むそんな状況を、しかし佐助はそれを素気無く断ったのだそうだ。

「女の子が折角、勇気を出して持ってきたのにさあ。甘いの好きじゃないからって・・・」

食べる食べないは別にしても、貰うだけ貰ってあげればいいのに、とが慶次の主張であった。
しかし佐助はそれに頑として頷かない。

「貰ったら面倒じゃん。後でお返しとか。」

一理あるかもしれないが、それにしてもあんまりな言い様に慶次は元より元親も沈黙してしまった。
気持ちは分かるが、面倒って、いくらなんでも・・・

「さっちゃん、冷たい・・・」

自称恋の伝道師。
恋する女の子の味方と豪語する慶次は、女の子の気持ちを代弁しているつもりなのか、急に女言葉になって机にうつ伏して泣き始めた。
勿論真似だけだが、大男が両手で顔を覆ってさめざめ泣く振りをする姿は少々鬱陶しい。
そんな慶次に佐助は益々げんなりして不機嫌になり、これでは埒が明かないと思った元親は、仕方なく自分も口を出す。

「でも、別にお返しくれって言われた訳じゃねぇんなら、今回は貰っても良かったんじゃねえ?」

本当は、断って相手や周りにどう思われるのかを佐助が全て分かっていて、その上での行動であるのなら元親は別に良いと思うのだが。
確かに何の見返りも無く渡そうとしたものを断られた女の子も少しだけかわいそうに思えたので、元親は尋ねてみる。
特に今回は、慶次の情報によると、その子は佐助が甘いものが苦手と知って態々ビターチョコを用意して作ったとの事だったので。
佐助の為だけに作ったのだろう。
そう思えば貰うぐらいは、と考えてしまうぐらいには元親はお人好しだった。
しかし、それにも佐助はきっぱりと答えた。

「甘いよ、親ちゃん。タダより高いものはないんだから。」

その時は渡すだけと言っても、後でどうなるかは分からない。
また、今回の子が本当にそうだったとしても、その子を受け取れば自分もと言う子が出てくる可能性は非常に高い。
そしてその子が今回の子と同じとは限らないのだ。
バレンタインが近いだけに、その辺は抜かりなく。
断るなら徹底的にしなければならない、と言うのが佐助の意見だった。

佐助の言い分に元親は成る程、と思ったが、慶次はそれでもまだ納得が出来ないらしい。
けどけどっ、と言い募ろうとするのを、止めたのは元親ではない。
新しい介入者だった。

「店ん中であんまりヒートアップしてんなよ、前田。」

現れたのは二人。
トレイに五人分のカップを乗せた政宗と、砂糖やミルクを手にした幸村だ。
カウンター組が帰って来たらしく、その時点で佐助は既に会話から離脱の構え――当事者であるにも関わらず、だ――。
そんな佐助と、この微妙な空気をものともせずに笑顔で隣に座る幸村。
その幸村の隣に座りながら政宗が続ける。

「こいつに何言っても無駄だって、いい加減学べ。」

その声は疲れと呆れを含んでいた。

いい加減、の言葉の通り、このやり取りは実は今日が初めてと言う訳ではなかった。
高校で元親や慶次が佐助達と出会って一年弱。
その間、もう何度となく繰り返されてきた事なのだ。
何しろ佐助は器用で頭もよく、運動神経も身軽で抜群だ。
おまけに容貌も悪くないと来れば、もてない訳が無い。
告白は月一ペース。
今回のような事も、これまでに両手で足りないくらいにはあった事だ。
その都度説得しようとする慶次の諦めない姿勢には感心するが、毎度近くで聞かされる身としてはそろそろ飽きて来るというもの。
特に政宗は慶次たちよりも佐助や幸村との付き合いが長い分、慶次の行動の無意味さを良く知っているから。
仲裁役はそろそろ勘弁してほしい、と言うのが本音だろう。

「こいつの頭ん中には、真田幸村の事しかねえ。他の奴への情を説いても無駄なだけだ。大体、甘いものが嫌いってこと自体がそもそも、体よく差し入れを断る為の嘘だしな。」

え、と慶次が聞き返すと、政宗は机の上に置かれた佐助のカップを指さした。

「こいつ、普通に甘いもん食えるんだよ。」

五つ並んだマグカップ。
その中で、佐助の前に置かれているものは。
カップの上にたっぷりのスチームミルクとホイップクリーム。
その上に降り掛けられた細かいパイ生地。
どう見ても店の入り口に大々的に掲げられていた看板の写真と瓜二つのそれは、そもそもこの店を訪れる発端となった、幸村が飲みたいと言っていたものだ。
勿論、幸村の前にも同じ見た目のカップが置かれている。
甘いものが苦手ではない元親でさえ、甘そうだと思ったこの店の新作メニュー。
それを何故、甘いものが苦手とされている佐助が頼むのか。

「ええぇぇええ!?佐助、いつもコーヒーのブラックとかじゃん!」

隣からの驚愕の声に、元親は隣で頷く。
慶次の言う通り、学校で飲み物を買う際佐助はいつもブラックの缶コーヒーだった。
菓子類も一切食べない。
なのでてっきり元親もそうと疑っていなかった。
しかし。

「別に食べられるよ。ただ、進んで食べないってだけ。」

佐助曰く、菓子を食べないのはいつも一緒にいる幸村が甘党だからあげてしまっているだけらしい。
しかし、そこにコーヒーのイメージも加わった為か、いつの間にか佐助が甘いものが嫌いと言う噂が広まった。
佐助自身はそんな事を言った覚えはないが正直どうでもよかったし、政宗の言う通り断る理由に丁度良かったから敢えて否定はしなかったのだそうだ。

「マジかよ・・・」

すっかり騙されたぜ、と元親はいっそ感心した。

「実際、食べられるってだけで、特別好きなわけじゃないしね」

完全に嘘ではないと付け加える佐助に、元親はおや、と思う。
ならば、今日のセレクトは一体どう言う事なのか。
しかし、その答えは程なく知れる。
己の頼んだ新作を半分程飲み終えた頃だろうか。
幸村がマグカップを置き、佐助の袖を引いて言ったのだ。

「佐助、一口くれ!」

その一言で、元親も慶次も全てを悟る。
そう言えば、新作は上のデコレーションが同じで下がラテとモカの二種類だった。

「うむ!こっちも美味いな!」

案の定。
佐助が頼んだのは幸村のとは違う方。
佐助は幸村が一口くれと言ってくるのを予想して、幸村が新作の両方を楽しめるようにしたのだ。

「旦那。上のホイップのとこ飲んじゃっていいよ。俺様、ラテだけあればいいから。」

そうは言うが、飲む為にカップを傾けると浮いたホイップは水面の高い方に逃げてしまい、結果クリームが無くなる頃にはラテも半分以上無くなってしまっている。
いるが、佐助はそれでいいらしい。
残ったラテをチビチビ飲みながら、幸村を眺めて満足気だ。

「分かったかよ。」

重みのある政宗の言葉に、元親は頷かずにはいられない。
これは無理だ。
こんな男を変えようだなんて、何年かかっても出来っこない。
未だ信じられないものを見るように呆然としている慶次に、お前は頑張ったよと労わりの言葉を掛けてやる。
同時に、けど諦めろ、の言葉の替わりに元親は慶次の肩をポンと叩いた。





















ツイッタでフォローさせて頂いている方が、「バサラのコラボ商品の佐助のメニューが幸村好みの甘さ!」と仰っているのを聞いて、『自分好み<旦那好み』な佐助さんに禿萌えますた。

幸村(と佐助)が飲んでるのはタ〇ーズのミ〇フィーユです。
ラテうまうま!
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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