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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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先月末、大阪に戦煌一般参加をしに行ってきましたー!!
日曜は雨風凄かったのですが、一応屋根のある所で待てましたし、色々なご本もゲット出来て嬉しかったです!!
他にも、前泊して本屋巡りと甲子園観戦(初、春の大会!!)もしてきて、満足な旅でした!!



――で。
そんな旅行の道中、新幹線の中でモソモソ書いていたSSです。
とある方に前作を「いいですね」と言って頂いてしまって、思わず調子に乗りました。
5つのお題、このシリーズで全部書けたらいいなぁ、と言う希望的観測・・・










・佐幸
・現代
・お題





【仔猫のワルツ2】








幸村は先日、捨て猫を拾った。
実際はそれは猫ではなく紛れも無く人間であったけれど、道端に力なく倒れ、雨に打たれている姿は将に捨て猫と言う他なく。
どうしても放っておけなくて家に連れ帰ってしまった。

第一印象からしてそんな風ではあったけれど、拾ってみれば益々男は猫っぽいと思った。
何故なら、これがまた中々に懐かないのだ。
人好きのする笑顔を浮かべてはいるが、常に目には警戒の色が浮かんでいる。
警戒はもしかしたら自分と言うより周りに向けられているのかもしれないが――何しろ、彼は怖い人達に追われている身らしいので――、幸村に心を開いていない事は確かであった。
同じ部屋にいても、確かな一線を自分との間に引いている。
不用意に近づこうとすれば瞬時に距離を取られる所も猫っぽい。
髪に付いた糸くずを無言で取ろうと手を伸ばして、叩き落とされた事もある。
流石に引っかかれはしなかったが。
咄嗟に謝ると向こうも気まずそうな顔をするので、それ以来無暗な接触は避けるよう心掛けている。

そんな幸村の態度に、男は、旦那は本当にお人好しだねと言って笑う。
因みに、男は自分の名前を名乗ろうとしなかったし、幸村の事も決して名前では呼ぼうとはしなかった。
男を拾って暫く匿う事を決めた日にちゃんと幸村は名乗っているのだが、頑なに旦那と呼ぶ所にも彼が心を許してくれていない表れのように思われる。
閑話休題。

『こんな得体の知れない危ない奴拾っちゃって、しかも気まで遣っちゃってさ。出てけって言えば一発なのに』

男はよく、そんな風に自分を悪い物の様に言い、幸村に自分を追い出させようとするような発言をしたが。
それすらも幸村にすれば、心淋しくて敢えて試しているような。
それでも大丈夫だと言ってほしくての言葉にしか聞こえなかった。
そんな様子がまた、普段は警戒して近寄らない癖に何故か目の届く範囲に現れ興味をひかせようとしている野良猫のように見えて、放っておけなくさせる。
怖がらずに甘えればいいのに、と。

あんなボロボロに打ち捨てられるような大変な状況に陥って、或はもしかしたらこれまでもそんな環境で生きて来て、警戒心を解けない気持ちも分からないではないのだが。
そろそろ心を開いてほしい。
気を許してほしい。
思った幸村は一つ決意し、図書館である本を借りて来て今日までに熟読してきた。
そして、漸く読み終わった。
これで事前知識はばっちり、の筈だ。
今日こそはと立ち上がる。
男は狭い台所で夕飯の片づけをしていた。
居座っているせめてものお礼にと、この家の家事の大半は今は男が担当となっていた。
幸村が余りにも不器用で要領が悪いのを見兼ねた、と言うのもある。
ほんの数歩で行けるそこで、しかし近くまでは行かずに立ち止まると気付いた男が振り返る。

「旦那、どうしたの?」

デザートは今日はないよ、とからかう男を無視して、幸村は本の内容を思い出す。
急には近寄らず、一旦距離を取って止まる。

『距離を縮める時は少しずつ。
 向こうが怯えない程度に。
 退く気配があったら直ぐに止める事。』

そこまでは大丈夫なようだ。
男は不思議そうにしてはいるものの、身体を退かせる気配はない。
それから、と思い出す。

『体制はなるべく低く。
 威圧感を与えないよう、自分を小さく見せるように。』

体制を低く、と考えてその場に跪く。
実際に言えば幸村より男の方が背丈は大きいので威圧感も何もないのだが。
幸村の思考はそこまでには至らない。
とにかく本の通りに、とそれだけだ。
因みに本のタイトルは「臆病な小動物の飼い方」だ。

『大丈夫なようであれば、手を少しずつ近づけて撫でてみる。
 もし上からに怖がる様子を見せたら、手の平を上に向け、下から近づけ触れさせる程度に』

いきなり触れるのはきっと駄目だ。
何故なら払い除けられた前歴がある。
だから、と幸村は下から手を伸ばす。
そして――

「だ、旦那・・・?」

慌てる男を意にも介さず、一言。

「貴殿に触れたいのだが、構わぬか?」

思わず息を飲んだ瞬間に唾が気管に入ったのか男は盛大に咽てその場に蹲り、背中を擦る幸村は謀らずとも望んだ通りに男に触れる事が叶ったのだった。





その後、男の呼吸が落ち着いてからそんな発言に至った経緯を語ったところ、男はその突拍子もない思考回路に大笑いをして、それ以来二人の距離は縮まった。
名前も教えてもらい、慣れてしまったからか相変わらず幸村の事は旦那呼びのままだけれど、そこには引かれた線は感じない。

「旦那の為にも、あんまり深入りしない――てかさせないようにしてたのにさぁ。そんな風に言われたらね」

そう言う男――佐助は、今は幸村に近づかないどころか背後に座り、抱き込むような体制で幸村に伸し掛かっている。
近づきたいとは願ったものの、流石にこの距離はどうした事かと疑問に思って聞いたところ、この部屋が寒いから暖を取っているのだそうだ。
なるほど、そう言えば猫はよく冬場は温かいものの傍に居る。

「まだそのネタ引っ張るの?まぁ、いいけどさ」

男は苦笑した後に言った。

「じゃあ、飼い猫にしちゃったからには責任もって今後ともよろしく。飼い主さん」
















書いてる途中で購入した商業コミックスが、「世話焼きな飼い主と世話焼かれお坊ちゃん」という設定で(それは攻めが飼い主でしたが)その「飼い主様」に萌えて最後の佐助のセリフを付け加えちゃいました(笑)

拝借:さみしがりな君へ5のお題「怖がらないで、甘えてごらん」(rewrite様)
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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