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愛嬌、愛らしさ、懸命 静かな思い
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折角のバレンタインなので何か・・・
鼻を真っ赤にしてる幸村とか可愛いと思うのです///

何やら現パロばかりなので、その内ガッツリ戦国時代も書いてみたい。





・現代
・佐幸










 【バレンタイン’s シンデレラ】










付き合い始めると相手が我儘になる、とはよく聞く話で。
例えば、記念日を一緒に過ごせないだけで鬼のように責められたり。
それが別れる原因となると言うのもよくある話。
佐助に限ってはそこまではいかないけれど、困ったなぁとは思う。
イベント日にどうしても会いたいだなんて。
可愛いお願いだが、就職一年目の新人会社員にはどうにも出来ない事なのだ。





今日は2月14日のバレンタインデー。
恋人たちにとっては、誕生日、クリスマスに継ぐ一年の内の大イベントだ。
佐助も、長年思い続けていた幼馴染の幸村と晴れて昨年の春先に恋仲となり、それから迎える初のバレンタインだった為非常に楽しみにしていた。
何しろクリスマスや誕生日は家族で祝うものと言う考えが幸村にはあった為、一緒には過ごしたものの養い親や幸村の兄も一緒。
二人きりで過ごすと言う佐助の計画は失敗に終わり。
つまりは恋人としてのイベントは初めてだったのだ。
このバレンタインデーは。
だがしかし、だ。
佐助は幸村と恋仲となったのとほぼ同時期。
去年の春に大学を卒業し就職したばかりの、前述の通りの就職一年目の新人だ。
ブラック企業と言う訳ではないが、イベントを恋人と過ごしたいから残業しないで帰ります、とは流石に言い辛いものがあった。
それでも当初は、多少遅くなりはしても夜の内には帰れる予定だった。
だから幸村とも約束をしていた。
幸いにして今年のバレンタインは週末だったので。
夜に待ち合わせて食事をし、そのまま佐助の家に帰って二人で過ごし。
あわよくば更に恋人らしい事をして一晩過ごしたいなぁなんて考えていたのだ。
だと言うのに、まさかそこに臨時の企画会議が入ってしまうとは。
誤算も良い所であった。
そして、そう言った会議と言うのは往々にして長引くもので。
佐助が参加したそれも予想通りに長引いた。
仕方なく合間の休憩時間に何とか幸村に連絡を取り事情を説明して――・・・冒頭に至る。
今日中に帰れるかも分からず、待ち合わせの時間にも当然ながら間に合わない。
明日一緒に過ごそうと謝りながら言ったのだが、幸村は納得してくれなかった。
ならば家で待っていてくれれば、日は跨ぐかもしれないが夜の内には会えると言ったが、それもダメで。
どうしても今日中に帰って来られないのかと駄々を捏ねられ、佐助は困り果てたのだった。
佐助としても恋人のお願いなら出来得る限り叶えてやりたいところであったが、こればかりはどうしようもない。
結局、休憩も終わりそうだった為今度埋め合わせをすると言う事で無理やり押し通すしかなく。
最終的には幸村も頷いてくれたが、こちらも罪悪感が半端ではない。
困ったなあ、と佐助はまた一つ大きなため息を吐くしかなかった。
それが三時間ほど前の話。

(てか、あんなにイベントに固執するなんて、ちょっと意外だったなあ・・・)

会議の内容を纏めた報告書の作成とその会議で止まった今日の分の仕事を片付ける為ni
パソコン画面に向かいながら、キーボードを叩く指は止めぬままに佐助はぼんやり思う。
どうしても今日がいいのだと言う幸村の態度。
確かにクリスマスやハロウィンなどイベント事を好む方の彼ではあるが、それはあくまで皆で騒いだり特別なものが食べられるからと言うような意味合いが強く。
ダメでも人を困らせてまでと言う程ではなかったように思う。
特に今回は元々佐助と二人きりの予定であったし、佐助の仕事と言う事情とて理解してくれそうなものだが。

(恋人としてそういうのを楽しみにしてくれるようになったってんなら、それは嬉しい変化なのかねえ・・・)

尤も、拘りすぎるのは困るけれど。
考えながらファイルの保存ボタンを押して、そのままパソコンを閉じる。
漸くひと通りの事が終わり、時計を見れば既に11時半に近い。
職場から佐助の家までは小一時間かかる為、家に付く頃には日は跨いでいるだろう。
幸村が果たして家で待っていてくれているのかは不明だが、来ていた時の為に何か買って帰っておいた方がいい。
さて、何にしようか。
この時間ではもう店はどこも閉まっているし。
取り敢えずコンビニか。
或いは、幸村なら佐助が何か作った方が喜ぶかもしれない。
地元の24時間営業のスーパーで買い揃えられそうな材料を思い浮かべながら守衛に軽く会釈をして外に出ると。
身を切るような冷たい冬の空気。
それを裂くように凛とした声。

「佐助!」

聞き間違える筈の無いその声に、呼ばれたのは紛れもなく己の名で。
しかし、それはここにいる筈のない人のもの。
驚いて、振り返る先にはそれでもやはり思い描いた通りの人が。

「だ、旦那ぁ!?」

つい数時間前に、じゃあまた家でと電話で会話した筈なのに。
赤いダッフルコートの幸村が、建物の脇に寄りかかるようにして立っていた。

「あんた、何でこんなところに!?このくそ寒い中、こんな外で何してんの!」

驚きと心配で声が少し尖るのを自覚しながら駆け寄って、己のマフラーをぐるぐると巻きつけて問いかける。
幸村は顔がマフラーで半分くらい隠れてしまっており、苦しそうに目を閉じていたが、佐助は構っていられなかった。
見える鼻頭は真っ赤で、問うまでも無く寒そうだ。
しかし幸村は佐助を見上げ、マフラーを口元まで下げて笑う。

「お前を待っていたのだ。流石に会社の中に入る訳にはいかぬのでここにしたのだが・・・無事会えて良かった。」

確かに社内は部外者は立ち入り禁止だが。
律儀に外で待っていたと言う幸村に佐助は頭を抱えたくなった。
守衛に事情を話せばロビーくらいは入れてくれただろうに。
でなければ。

「俺様にメールするとか・・・」

そうすれば佐助自ら守衛に話す事も出来たし、ロビーではなく暖房の効いた室内で、暖かい飲み物でも飲んで待っていられたと言うのに。

「しかし、それではお前の仕事を邪魔してしまうだろう。まあ、後20分待って出てこなければ流石に電話しようと思っていたのだが・・・」
「20分?」

言われて腕時計を見てみると今は11時半過ぎ。
20分後と言う事は11時50分過ぎ。
日付変更の少し前だ。

「ここまで来て、今日中に渡せねば元も子もないからな」

そう言って幸村がごそごそとコートのポケットから取り出したのは赤い包みの小さな箱だ。
買うの恥ずかしかったのだぞと言われて掲げられたそれは、幸村の体温でか僅かに温まっていた。
この日に、この装丁のものだ。
中身が何かなんて問うまでもない。
溶けてしまってはいないだろうか。

「あ、ありがとう・・・」

呆然として、受け取る事も忘れて半ば無意識にお礼だけ告げれば、幸村がちょっと不服そうに唇を尖らせる。

「何だ。喜んでくれぬのか?」
「あ、いやっ・・・、嬉しいです!本当!!・・・まさか、旦那から貰えるとは思ってなくて・・・びっくりした・・・」

本当に、これだ。
あげる方は考えていたが、まさか幸村から貰えるとは思っていなかった。
予想外の出来事に頭が働かない。
そして、もしやと思う。

「旦那が今日中に帰れって言ってたのって・・・この為?」
「ああ」

聞いてみれば案の定。
何を当たり前な、と言う様子。

「お前が言ったのではないか。バレンタインに・・・こ、恋仲の相手から貰いたい、と」

言われて佐助は記憶を辿った。
薄っすらと蘇る。
いつだったか、テレビのバレンタイン特集を二人で見ていた時だっただろうか。
甘いものが好きな自分にはいいが、そうではない人にはつまらないのではないかと言うような事を言った幸村に、確かに佐助は言った気がする。

『俺様も別に特別甘いの好きじゃないけど、恋人とか好きな子から貰えれば、やっぱり嬉しいもんよー』
 
「こ、今年は、恋仲となったのだし、な・・・」

あれはまだ幸村と両思いになる前の事だっただろうか。
同性で、片思いで、色恋に鈍い幸村相手で。
貰える筈がないだろうと思って出た言葉だったと言うのに。
それを律儀に覚えていて、自分を喜ばせようとしてくれたのか。
この健気な恋人は。

「仕事だったのに、我儘を言ってすまぬな。今日中に、などと・・・」

無事渡せそうで安堵したのか、数時間前の己の言動を恥じるように幸村が俯いてポツリ言う。
別に佐助は貰えるだけで十分で、日にちには拘っていなかったのだが、バレンタインと言うからには14日中に渡さなければと思い込む辺りが何とも幸村らしく。
その愚かさが自分の為となれば堪らなく愛おしくもなると言うもの。

(もう、本当、おバカさん・・・っ!)

堪らず冷たい身体を抱き込んでぎゅうぎゅうと抱き締める。
胸元から苦しいとか、人がとか色々聞こえた気がしたが、佐助はすべて無視をした。
普段は自分より温かい身体が指先まで冷たくなっているのが無性に嫌で、自分の体温を分け与えるように身体を密着させれば大人しくなった身体が次第に発熱するように温かくなるのに満足する。
湯気が出そうな程に耳まで赤くなる幸村に、間に挟まれたチョコが溶けるかも、とちらりと思ったが。
まあいいか、と佐助は開き直って赤い項に口付けた。
それでも、あと10分の内には離してチョコレートをちゃんと受け取らなければと心に決めながら。

 
 
 
 
 



 


溶けたチョコレートと幸村はこの後佐助が持ち帰って美味しく頂きました。
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戦国BASARAの佐幸と真田主従と武田軍と西軍大好きなBASARA初心者です。
3→宴→2(プレイ途中)からの現在は4に四苦八苦中(笑)
幸村が皆とワイワイしつつ、佐助に世話を焼かれているのを見るのが何より好きです。
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